第一章でも同じように言及をするのだが、そもそもオピニオンは直訳すると「意見」である。もっとも最近では良くも悪くも話題となる週刊誌の中には「オピニオン誌」という側面も持っている。
このオピニオンこそ「政治思想」とは切っても切れないものであり、なおかつ思想の違いといったものがハッキリと出てくる。もちろん現在の政治にも大きな影響を及ぼす。その政治思想とオピニオンはどのような歴史を辿っていったのかを取り上げているのが本書である。
第一章「オピニオンとは何か」
オピニオンにはいくつも意味がある。もちろん「意見」もまた一つであるのだが、現在の日本でも強く意識される「世論」もまた「オピニオン」の一つとして挙げられる。また本章では国家としての「死」についても取り上げている。
第二章「中世のボディ・ポリティック――「死なない王」のオピニオン」
前章でも国家としての「死」を取り上げているが、近代では国家としての「死」がほとんどないことを指摘している。「国家としての『死』」とは何かというと、どこかのゲームにおいて、○○の国が敵国との戦争で滅びる。その「滅びる」が「国家としての『死』」を意味している。もっとも中世から近世にかけて様々な国が滅び、あるいは誕生しながら生まれてきたことは言うまでもない。
もっとも中世ではどのような国家としての「死」があったのか、また国家を死ななくするために何を行ったのか、「王権神授説」「法的言説」などを中心に取り上げている。
第三章「近代主権国家の誕生――「死なない国家」のオピニオン」
中世から近世の始めにかけては王政国家であり、国民は王家の臣民でしかなかった。近世になってくると西欧諸国のなかでいくつかの「革命」が起こり、近代主権国家が誕生するようになった。現在まで残る「死なない国家」がここに生まれたのである。
第四章「革命が生んだ新たな祖国――オピニオンは国家のための死を求めるか」
「革命」の中で特に大きなものとしてはフランス革命がある。絶対王政の中で君臨していたルイ16世が処刑され、主権が人民に渡った。しかしナポレオン・ボナパルトが台頭すると、また主権が帝政へと変わっていき、そしてまた国民主権に戻っていった。
第五章「現代の国家――ナショナリズムとオピニオン」
では現代における国家はどのような機能があるのか。特に国家としての考えの中で出てくるのが「ナショナリズム」があるのだが、そのナショナリズムはある種危険なものをはらんでいると指摘している。
第六章「国家の未来――政治の死? 不死の人間?」
もともと国家自体には国民それぞれのオピニオンがあり、現在では選挙などによって反映されていくことが多い。しかしそのオピニオンは果たして必要か不要かという議論も少なくない。
オピニオンはここ最近できたものではなく、むしろ「政治」や「国家」ができた当初から存在すると言える。しかしそれが顕著に表れだしたのは革命が起こり、人民が主権を持つようになってからの話である。この「オピニオン」はあくまで「意見」「世論」であるため、人それぞれの思想が入っていることは間違いなく、なおかつ様相の変化によっても変わってくる。
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