メディアシフト YouTubeが「テレビ」になる日

昨年・一昨年あたりかどうかは難しいのだが、芸能人が続々とチャンネルを作り、動画をUPして行く傾向が強くなり、中にはYouTuberとしても活躍する方々も出てきた。その一方はテレビ離れに拍車をかけているのもある。

ではテレビからYouTubeなどの動画へとメディアシフトをして行っているのか、あるいはテレビとYouTubeはどのような関係にあるのか、本書ではそのことについて取り上げている。

1章「YouTubeとオトナ、YouTuberと若者」

著者曰く映画監督やコメディアンなどマルチに活躍する北野武はYouTuberと似ていると指摘している。その傾向としてお笑いや小説の要素、さらにはYouTuberの界隈である炎上やチャレンジ・企画などYouTuberにある要素全て、テレビを始め様々な舞台で以て行ってきたという。

もっとも芸能人の中にもYouTuberとして活躍されている方もいるのだが、その中には大人気になって、登録者100万人以上獲得できる人も言えれば、千人単位で推移してしまい、細々と行っている方も少なくない。

2章「YouTubeと芸能界、YouTuberと芸能人」

芸能人の中にはいつの間にかYouTubeチャンネルをつくった方も少なくない。本章では勝俣州和を取り上げているのだが、他にも俳優の松平健もまたそれに類する一人と言える(理由として登録者数が伸びないことを年末の「笑ってはいけない」の番組で自虐したことがある)。

逆にYouTubeチャンネルを堂々と公表し、短い間にチャンネル登録100万人を達成した人もいる。もっともなぜそのような「差」が生まれてしまっているのか、登録者数の状況はもちろん、TV向きなのかYouTube向きなのかという人気・認知の傾向などを分析している。

3章「YouTubeとテレビ局、YouTuberとテレビマン」

広告業界ではテレビからYouTubeをはじめとしたインターネットへとシフトしている。もっともテレビの広告収入もここ最近では右肩下がりであり、高視聴率を獲得したからと言って、広告での売上が減少しているという。そのためかテレビ局では番組における広告収入ではなく、ある種不動産業界のように土地などでの収入が屋台骨となっている所も少なくない。

またテレビ局ではコンテンツづくりはそこそこやれていても、その後の「マーケティング」に結びついていない所があるとも指摘している。テレビ局の中には他の局へ売り込みをかけてコンテンツで稼ぎ、屋台骨となった所もあるが、なかなかうまく行かない。そのテレビ局に対しての生き残り策を本章にて提言を行っている。

4章「YouTubeと広告、YouTuberと消費」

とはいえYouTubeもまた、アクセスやチャンネル登録を行うために、いきなりバズるようなものではなく、コツコツと行っていくことが大切と著者は指摘している。またYouTuberとして成長するためにはどうしたら良いのかの対策もまた提示している。

5章「YouTubeとビジネス界、YouTuberと日本社会」

YouTubeはありとあらゆる所で影響を及ぼしている。テレビだけでなく、広告、さらには政治・選挙にもあり、もっと言うと観光もまたYouTubeが切っても切れないものにまでなった。それは日本に限らず、YouTubeを視聴している国々が同じなのかも知れない。

YouTubeそのもののプラットフォームが開設されたのは2005年2月14日であり、すでに16年半経つ。特に新型コロナウイルスの感染拡大と、インターネットの普及によって、多く見られるだけでなく、YouTuberとして動画投稿を行う人々も出てきている。もはやYouTube自体が、一つのメディア・プラットフォームとして活躍しており、それはテレビだけでなく、広告や社会としての役割として「なくてはならない」ものにまでシフトしている。