男性育休の困難 取得を阻む「職場の雰囲気」

今年の6月に「育児・介護休業法」が改正され、男性の育休取得に関しての制度が大きく変わった。さらに充実したことにより、取りやすくなったと言われるものである。それまでも男性の育休制度を利用する方々もいたものの、様々な「壁」があるなど、取りにくい要素もあった。

その「壁」の中には職場そのものの「雰囲気」も含まれている。ではなぜ男性の育休の取得が困難なものになってしまったのだろうか。その実情とこれからを取り上げている。

第1章「育休男性と職場のコンフリクト」

おそらく6月に改正したとしても未だに取りにくいと指摘できる現状として、日本にある「考え」や「空気」がある。その要因としては「性別役割分業意識」とあるが、平たく言うと「男は仕事、女は家庭」の古い考え方そのものである。また女性の育休であればわかるのだが、「なんで男が?」といった批判が根底にあることから取りにくくなっている部分も強い。

第2章「育休男性の新しい意識」

そう考えると男性の育休がなぜ必要なのかと言う側面を知る必要がある。取得前、取得中、取得後としてどのようであったかという、「意識」の側面からの変化を本章にて紹介している。

第3章「育児・仕事の時間配分の三つの様相」

育児は女性だけの仕事ではない。父親たる男性もまた仕事の一つとしてある。しかしその育児をどのように行うかによって、仕事をはじめとした時間配分をどうするかを見ていく必要がある。一つは労働時間を変えずに育児に関わる方法、時短勤務などの労働時間を短縮して関わる方法、そして仕事を休職あるいは退職する方法と、3つの様相を取り上げている。

第4章「仕事/私生活をめぐる時間意識」

ワーク・ライフ・バランスがある。仕事と生活(プライベート)のバランスをしっかりしましょうというものである。意識的に行う事が大切であるが、環境面の変化により、そうせざるを得ないような状況になる人も少なくない。本書で取り上げている子育てもあれば、親の介護などもある。特に育児を行ったとき、仕事に対して、時間に対しての意識はどのように変わっていったのかを本章にて取り上げている。

第5章「「望ましい労働者」像と育児の特殊性」

望ましい労働者の姿は企業によって異なってくる。また時代によっても変わってくる。仕事優先なのか、仕事も育児もなのかということ。さらには育児休暇の「意識」などの現状をあぶり出している。

第6章「なぜ男性育休は困難か」

そもそも育児休暇の意義はわかるのだが、潜在的な意識にてなぜ育児休暇を取りたがらないのか、という深層を見ていく必要がある。制度も充実化している、また実際に取得している人もいるのだが、躊躇う理由として何があるのか。その理由の列挙とこれからの提言をしている。

制度が充実化し、実際に取得する人も出てきている中で、なぜ男性の育休の取得が伸び悩むのか。そこには日本独特の考え方はもちろんのこと、取得を考えている人々の潜在的な考え方と時代との「ズレ」が生じているように思えてならない。ではその「ズレ」をどう埋めていくのか。すでに「制度」を充実では限界が生じているように思えており、むしろそれぞれの「意識改革」が求められるのではないかと考える。