昭和のアニメ奮闘記

本書の著者である南正時は鉄道写真家や紀行作家であると同時にアニメーション作家でもある。著者自身は第1章でも紹介するが1967年(昭和43年)にAプロダクション(現:シンエイ動画)に入社し、多くのアニメーションを製作することにより、アニメ黎明期を支えた人物の一人である。

黎明期と呼ばれる中で著者はどのようなアニメ製作に携わり、なおかつアニメーターたちとの関わりを持ったのか、その歴史を綴ったのが本書である。

第1章「昭和43年「Aプロダクション」に入社」

現在のシンエイ動画もドラえもんやクレヨンしんちゃんといった数十年にわたって続いているアニメを始め多くのアニメを送り出しているが、著者が入社したAプロダクションでも「オバケのQ太郎」「パーマン」「巨人の星」「ムーミン」「天才バカボン」「ど根性ガエル」「アタックNo.1」など、昭和を彩るアニメを数多く制作してきた。

著者は1967年に入社したのだが、それ以前のことを綴っている。小学生の頃に長編のマンガ映画を鑑賞し、アニメに触れ、アニメ製作サークル(「東海アニメーションサークル(TAC)」)をつくった。その後にAプロダクション社長の楠部大吉郎との出会いを通して入社した。

第2章「伝説のアニメーターたちに囲まれた日々」

Aプロダクションに入社してからは巨人の星やルパン三世、ムーミンなどの作品に携わった。その携わった中で、同僚のアニメーターたちの中には日本アニメの歴史を彩った方々も数多くいた。著者自身の中で関わった人物たちを中心に本章にて取り上げている。

第3章「『ルパン三世』がつくられた頃」

ムーミンの制作の背景の他にも、本章にはルパン三世の制作背景についても取り上げている。冒頭にてAプロダクションに入社したが、実際に在籍したのはわずか3年だったのだが、アニメーターとしての人生をこの経験によって支えられた。

第4章「鉄道写真家としてアニメに関わることに」

その一方で、鉄道写真家としても活躍したのだが、その経験がアニメーション制作でも活かすようにもなった。国内外の鉄道の取材旅行を経たこともドラえもんを始めとした作品に大きく貢献した。

第5章「私が出会った日本アニメのレジェンドたち」

アニメ界のレジェンドというと良く言われるのが宮崎駿らがいるのだが、本章ではその方々が活躍する以前に、その歴史を作った方々を列挙している。

今でこそ様々なアニメがつくられ世に送り出されているのだが、50年以上も前からアニメーターとして携わっていた方々の活躍があり、今日の歴史が作られた。その足跡を知ることができる一冊と言える。