2006年、バングラデシュから起業家としての人生をスタートした。その道は決して平坦なものではなかった。その時著者は25歳。処女作「裸でも生きる」の如く裸一貫からのスタートだった。それから15年の月日が流れ、バングラデシュ他いくつかの国々にて自社工場を持ちながら、日本、台湾、香港と販売店舗を構えるまでに成長して行った。
そして本書である。「男と女」「仕事と家庭」「西と東」など2つ相対するような要素が存在する。いわゆる「二項対立」である。この二項対立を超えて、新たな道として著者は「Third Way(サードウェイ)」を提唱している。そのサードウェイはどのような所で展開できるのかを示しているのが本書である。
1章「社会性とビジネスのサードウェイ」
社会やビジネスの世界ではけっこう対立することが多い。社会においては政治的な世界で言うと「右翼」「左翼」といったものがあり、ビジネスにおいては「競争」と「共創」といった要素などもあり、その隔たりを埋めるのは難しいという他ない。しかし著者はそこにもう一つの道があるという。その一つのキーワードとして「共感」がある。
2章「デザインと経営のサードウェイ」
著者は経営者でありながら、チーフデザイナーも兼任している。デザイナーとしての目、経営者としての目の両方を持っているのだが、それをうまく組み合わせてもう一つの「目」を持つことによって、変化を感じ取り、感性を磨き続けることができるという。
3章「個人と組織のサードウェイ」
「会社」と言うと、立場によってそれぞれ定義が異なる。著者は「家族」と定義しており、なおかつそのような会社をつくることを目指している。また仕事においても、組織として、個人としてを超えたもの、また他社・他者比較を超えたものについて取り上げている。
4章「大量生産と手仕事のサードウェイ」
著者の会社は販売はもちろんのこと、ものづくりの会社である。ものづくりの会社だと、手仕事で少数生産とするか、あるいは大量生産を行うかといった所で二項対立が起こる。その二項対立を超えて、美しさと効率を掛け合わせていくかの考えを本章にて指名している。
5章「グローバルとローカルのサードウェイ」
自社工場・販売店含めグローバルに活躍している印象を持っている。しかしながら起業した舞台はバングラデシュであり、そこに根ざした活動も行っている。本章ではその両方の要素をいかにして取り入れていったかを取り上げている。
二項対立はビジネスに限らず、どこの舞台でも起こりうることである。その対立のどちらにつくかも一つの答えであるのだが、もう一つの道へ進むのもまた考えの一つである。本書はその「一つ」を示したと言える。
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