「シリアルキラー」と言う言葉を聞くことがある。心的な快楽のために殺人を犯す、その殺人の中には猟奇的なものを行うような人もいる。
このシリアルキラーが定義されたのは昭和末期のことであり、それ以前は連続殺人犯や武士のいた時代では「人斬り」といった要素が強い。その人斬りとして本書で取り上げる、とある博徒である。
今となってはかなり有名になった侠客(今で言うところのヤクザ)である清水次郎長(しみずのじろちょう)を筆頭とする次郎長一家に突然旅の博徒がやって来た。しかしその男は突然一家の窮地を救ったヒーローのように見えたのだが、実は三度の飯よりも血や殺しを好むといったものであり、現代で言う所の「シリアルキラー」そのものであった。
当初は頼りになった存在だが、事実を知った瞬間次郎長一家と博徒の顛末を描いている。
表紙は美しいのだが、扉以降になると、「赤」というか、「紅」といった深みのある赤である。もっとも血の色に近づけるように色づけているように思えてならない。その色がどうしてもこびりついて離れないような描写の連続であり、読んでいておぞましささえ覚えた。
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