猫は不思議な生き物である。固体にもなり液体にもなりと言うのもあるのだが、気まぐれで、なおかつ表情・行動ともにかわいさを見出し、どうしても放っておけない、もしくは魅了されてしまう人も少なくない。かくいう私もその一人である。その影響もあってか猫を飼う人もいるのかもしれない。
本書はその猫によって人生を翻弄された人たちを描いたミステリーである。猫とミステリーというとミスマッチのようでいて、物語を読んでみるとけっこうマッチしている。猫に癒やされると言うよりも、先ほど述べたように「翻弄される」と言う言葉がよく似合う。
可愛い猫と、その周りにいる人々の顛末が描かれているのだが、もっとも猫に限らず様々な出会いによって人生が「変わる」のだが、その「変わる」がどのようなベクトルになるかによって良くも悪くもなる。その中でも「悪くなる」といった状況が色濃く残った一冊であった。
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