スーパーリッチ ――世界を支配する新勢力

多くの先進国の経済では資本主義を採用している。資本主義経済になってくるとどうしても「貧富の差」といった「経済格差」は出てくる。しかしながらその度合いが大きくなることもあり、富の90%を富裕層が支配するといった事も少なからずある。

そのため本書で紹介されるスーパーリッチの存在もまた、資本主義の中ではどうしても生まれてくる事は自然のことである。とは言えど多くの国が資本主義として採用している現状を鑑みるとかつての貧富の差とは異なる様相を見せる。その「異なる様相」とは何かを追っているのが本書である。

第一章「超富裕層時代の到来」

特に超富裕層と呼ばれる層があり、その多くは米国では「GAFA」と呼ばれる巨大ITプラットフォーム、ウォルマートといったスーパーマーケット企業、中国ではアリババやテンセントといった企業もある。総資産自体が日本円に換算すると億単位どころか、「兆」単位にまでなる。

しかしその中にはかつての「貴族」と呼ばれるような人々は存在しない。というのはそのような貴族や富裕層というとその国での「富裕層」であるだけで、現在席捲している「超富裕層」はグローバルで活躍している人々ばかりである。

第二章「スーパーリッチ(富裕層)の新潮流」

とはいえ財産のほとんどが超富裕層にて支配しているのかというと決してそうではない。むしろその下の「ミリオネア」と呼ばれるような百万ドル単位、日本では億単位の資産をもっちえる人々も少なからずいる。しかもそのミリオネアは世界的にも激増している。その要因とは何かを取り上げている。

第三章「作られる新貴族文化」

「超富裕層」と呼ばれる人々は、かつてある富裕層とは異なる「文化」をつくり、育んできた。もっとも日常にしても、多様化しており、よくある会社員生活を送る、あるいはプライバシーを尊重するスイスで質素に暮らす人もいる。しかしながらよくある貴族のように贅沢三昧を行い、見せびらかすような人々も少なくない。そう言う意味では「多様」と言うほかない。

第四章「危うさはらむ新格差社会」

資本主義のさだめかどうかはわからないのだが、どうしても格差は生まれ、それが広がっていく。しかしその格差に対して抗議の声を挙げて、デモを起こすような人々も少なくない。他にも「格差」が新たな「階級社会」を生み出すという危険性もはらんでおり、本章にてそれを危惧している。

近代にあった資本主義の「格差」と、現代の資本主義の「格差」、それぞれの本質は異なれど、その格差をどう容認するか、そしてどう抵抗するか、それは政府・国もさることながら、資本主義の根幹を担う私たちにも課せられた課題と言える。

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