「子ども」と言うと純真無垢であり、なおかつ可愛い存在とも言える。しかし純真であるが故に、時として残酷な言葉をなげかける、あるいは残酷なことを行おうとすることもある。
しかしそれらは自発的に行うと言うよりも、両親、さらには周囲の人物の影響によるところが多い。本書で登場する子どもたちの親が起こしたある「事件」がきっかけにより、性格や行動が歪んでしまった、いや「壊れてしまった」が適当かも知れない。
壊れてしまった人は「人を殺す」「人に殺される」その論理を知ることができるのか、そしてその「殺す」作品を作る側から見てどのように思うのか、その群像を描いている物語である。
物語を作るとなると、創作でありながら、時としてリアリティを求めたがる。しかしながらリアリティの中には法律違反もさることながら、人の命を奪いかねないこともある。作家側の胸中がよく表れている物語と言える。
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