本書のタイトルを見て「クソの役にもたたない」と思っていたら大間違いである。その時代で生きている動物たちはどのようなものを食べてきたのか、そして生物そのものの生態や歴史を知ることができ、蘊蓄(ウンチく)を学ぶことができる一冊である。
第一章「生痕化石とは何か?」
もっともウンチの化石も存在しており、それを総称して「生痕(せいこん)化石」と呼ばれている。「生痕化石」とは、
古生物の行動の痕跡が地層中に保存されたもののことをいう。p.17より
と表している。そもそもウンチをすることも「行動」の一つと考えると腑に落ちるものである。
第二章「ウンチ化石からわかること」
ウンチの化石はどのように判断をしたら良いのか、「クソも味噌も一緒」とは考えずに見ていこう。地層の中でどのように古生物のウンチと見分けるのか、そしてどのような食事を行った来たかをウンチの化石で分析を行っている。
第三章「ティラノサウルスと首長竜のウンチに挑む」
恐竜のウンチまで分析している著者だが、ティラノサウルスや首長竜と言った恐竜たちのウンチはどのようなものであり、なおかつどのようなものを食してきたのかの研究を行うための題材としてもある。
第四章「ウンチ化石研究者が目指しているもの」
もちろんウンチの化石を見るだけで、どのようなものを接種したのかはわからない。ウンチの化石を知るためには実際に生きている生物たちのウンチを見て、どのような傾向なのかを科学的に分析を行う。本章ではその部分を取り上げている。
第五章「生痕化石が地球の未来を語る?」
単なるウンチだと思っては大間違いで、ウンチを含めた生痕化石は何千年前~何億年前といった遠い昔の中であったこと・動物・ものなどを知るための大きな材料になってくる。その材料をどのようにして活かすかも含めてのビジョンを明かしている。
第六章「地層ブラブラ:身近な楽しみとしての生痕学」
化石を探すことは研究者だけしかできない技術かというと、決してそうではないという。本章では実際にどのようにして化石を探し、見つけるのかを実際にやってみて綴っている。
著者曰く「ウンチの化石やウンと深いチ(知)的なもの」としている。もっとも古生物の痕跡の一つとしてあり、食事や行動の証拠の一つとして存在するのだから、汚いものかもしれないが、非常に重要な化石の一つであることに変わりはない。クソの役にも立たないと言われる中でも、ウンチ、もとい蘊蓄を深められる学問と言える。
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