ツバメのせかい

季節外れの一冊であるが、毎年私の住んでいる鎌倉にはツバメがやって来て、近くの所で巣を作る。中には店の所で巣をつくり、「ツバメがいます」といった看板も目立つようになる。ツバメが飛び、エサを集めて、雛鳥に分け与える姿は何ともかわいい。

本書はめくるめくツバメの世界について取り上げているのが本書である。

第1章「ツバメが聴いている音」

ツバメは身近な鳥である一方で、何かと謎が多い。そもそもツバメはどのようにコミュニケーションを取っており、なおかつ信号を受け取っているのか。もちろん「音」もコミュニケーションのやりとりの一つとしてあるのだが、どのような「音」を発しているのかなども含めて取り上げている。

第2章「ツバメは何色?」

ツバメにも色々な種類があり、なおかつ種類によって色も異なってくる。しかしその色の見分け方と言うよりも「色覚」によっての信号を発しているのもツバメの特徴としてあげられる。

第3章「ツバメの異種格闘戦」

ツバメは可愛いように見えて、実は色々な所で闘っている。それはエサの争奪戦から、巣の争奪戦に至るまで同じツバメ同士や、違う動物同士と闘うことが多くあり、さながら「異種格闘戦」と言う言葉がよく似合う。

第4章「ツバメのソーシャルネットワーク」

何もツバメがTwitterやFacebook、Instagramといったものをやるわけではない。ツバメにはツバメの「ネットワーク」があり、「社会」を築いている。その築いている社会はいかにして使っているのか、そして「社会」の中に「家庭」もあるのだが、そのツバメの「家庭」はどのようなものかも取り上げている。

第5章「ツバメと渡り」

「ツバメ」は最も身近な渡り鳥として有名であるのだが、どのように渡ってきて、なおかつやってくるのか。ツバメが渡るのは「越冬のため」とも言われている。冬を越すために、気温やエサなどの環境に適しているところを探して、特に東南アジアへと渡っている。

第6章「「ツバメ」として生きる」

ツバメにもツバメとしての生き方がある。寒い冬を越すために違う場所へと渡り歩き、なおかつ繁殖などのために日本にやって来てサバイバルを行うツバメもある。もっとも人間やツバメを含めた生物には「適応能力」があり、それを活かすことによって、変わりゆく環境に順応している。ツバメとして生きるためにはどのような「適応」を行っているのか、本章ではそのことについて取り上げている。

人間から見るとツバメはけっこう身近な鳥である一方で、深く調べて行くと、謎もけっこう多い。しかしその知られざるツバメの「世界」を垣間見た一冊と言える。