おいしくて泣くとき

子どもの貧困を救うために「子ども食堂」と呼ばれる活動が全国的に行われている。無料、もしくは有料でも手頃な価格で食べられ、子どもたちの「共生」やケアを主体として行われている。特に「格差」が社会的も深刻に取り上げられ、なおかつ貧困が子どもにも波及してからそのような活動が広がりを見せた。しかしながら、昨年初頭から出てきた新型コロナウイルスの感染拡大により、運営自体が厳しくなってしまうケースが後を絶たない。

子ども食堂の話で長くなってしまったが、本書もその子ども食堂にまつわる物語である。貧困家庭に対して無料でご飯を提供する大衆食堂があった。そのオーナーの息子と子ども食堂に通う女の子が距離を近づいた時から物語が始まる。しかもある事件に巻き込まれる形で。

しかし「事件」と言ってもミステリーなものではなく、トラブルと言った類いのものであった。しかしこの事件と、子ども食堂との関わりを通して、子どもがいることの大切さ、そして「食堂」を通して、なぜ「子ども食堂」が必要なのかの重要性を知ることができる。ハートウォーミングでありつつ、考えさせられる一冊であった。