飲んではいけない! 薬と感染症 “コロナ特効”ホンマかいな?

現在では第5波が終わり、落ち着いてはいるものの、「オミクロン株」と呼ばれる変異種が南アフリカ・西欧で猛威を振るい、日本やアメリカにも感染例が出るなど、戦々恐々の状況は止まらない。その一方で、ワクチンの3回目の接種が順次始まっているようでなり、なおかつコロナ治療薬も開発されるなど、収束に向けて着実に動き出していることもまた事実である。

さて本書であるが、本書が上梓されたのは2020年11月の時であることを念頭に置く必要がある。この時期はちょうど第3波が広がり出し始める少し前の時である。その時はワクチンの接種はどうなるのか、治療薬はどうなるのか、完全にスタートする前の時であり、どのような処方が求められるのか右往左往していたときのことである。そのため玉石混淆と呼ばれる情報の嵐に惑わされず、「独自調査」でもってどのような対策を行ったら良いかを取り上げている。

第1章「新型コロナウイルスSARS-CoV-2と感染症」

もっとも「コロナウイルス」は正式には「SARSコロナウイルス」であり、過去に2002年~2004年の頃にあった「SARS」と呼ばれる病気が広がりだした原因ウイルスとしてあげられる。2019年に出てきて、現在も広がりを見せている「新型コロナウイルス」は「SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)」を表している。メディアでは「新型コロナウイルス」もしくは、2019年に初めて確認されたことを意味して「COVID-19」とも呼ばれている。

第2章「高温・多湿が苦手、空気感染するウイルスについて」

かつて世界的に広がりを見せた「スペイン風邪」があり、秋から冬にかけて大流行し、それ以外の季節では一時的に収束する、いわゆる「季節性」と呼ばれていたが、新型コロナウイルスはどうかというと、著者は季節性の部分を取り上げているのだが、昨今の感染状況から見ると季節性とは言い難い。というのは第2波、そして最大の第5波は夏に流行し、さらに第4波は春に流行している。本章では冬に重傷化の危険性があると指摘しているが、第3波で重症者が格段に増えたことは正しいが、今年の春にあった第4波、夏にあった第5波でもそれ以上の重症者を出している。

第3章「解熱剤・ステロイド剤などで熱を下げてはいけない」

本章では実際にコロナに感染した際の処方であるが、解熱剤を用い羅えっる事があ一般的としてあるが、それは使わないよう注意している。またアセトアミノフェンも同様に指摘している。

第4章「免疫を下げる薬剤を避けること」

コロナに効く薬剤というと当時は情報がほとんどなく、降圧剤なども含めて処方を試しながら治療にあたっていたが、本章ではインフルエンザの治療で使われいたタミフルや降圧剤などは効果がなく、種類によっては逆効果になることを指摘している。

第5章「COVID-19に効く薬剤はなさそう」

本書の出版当時はまさにコロナに効く薬はなかった。もちろん完全に無かったわけではないのだが、コロナ治療薬自体が開発中で、治験が行われるかどうかと呼ばれた時である。そういうときに当たるため「なさそう」と表現しているのではないだろうか。

第6章「感染症とワクチンの話」

本章ではワクチンの話について言及している。こちらも昨年11月現在の話であり、現在ではすでに8割近くの国民が2回目のワクチン接種を完了し、3回目の接種が始まっているところである。

第7章「新型感染症に負けない体のつくり方」

感染症に負けない習慣と称しているのだが、基本的に病気に負けないための健康的な生活そのものを取り上げているだけである。

新型コロナウイルスが確認されてからもう2年の月日を迎える。原因やそれに関してのワクチン・治療薬の開発も着々と進み、ワクチン接種はすでに3回目がスタートしている。しかしまだオミクロンなど変異株が続々と出てきていることを考えると予断を許さない状況は今も続いていると言っても過言ではない。もちろんさらなる憶測なども出てきているため、難しいかも知れないが、常に正しい情報を入手して予防する。そう「『正しく』恐れる」事が必要がある。