数学や理科を苦手とする方もいるかもしれない。しかし昨今の技術革新は数学・理科といった学問の進歩と、実用化に結びつけられたことによって成り立っている。
そのため数理というと、役に立たないように見えて、実は陰で役立っている。その数理の分野から世界はどのように見えるのかについて取り上げているのが本書である。
第1章「「数のふしぎ」のその先へ」
まずは数学である。よくある算数と言うよりも、数学における方程式や定理といったものがどのようにして世界に役立てられるのかを取り上げている。ジュニア新書であるため、中高生に対してわかりやすくしているのだが、それでも定理の中では高校どころか大学以上のレベルのものもあるため、とっつきにくい部分もある。
第2章「人工知能に絵を描かせる方法」
とっつきにくいように見えて、ここ最近生活では密接に関わっているものがこの人工知能(AI)である。そのAIとはどのようなものか、そしてAIは私たちの生活の中でどう役立てられ、なおかつ可能性を示しているのかを紐解いている。
第3章「数理で読みとく生物進化」
「生物」とひとえに言っても、かなり大きく分けて動物・植物、さらにそれぞれから枝葉に分けても、枝葉だけで膨大なものになってくる。その膨大になる要因として「生物の進化」に他ならない。その進化が数理の観点からどのように見えるのかを取り上げている。
第4章「暗黒物質の色は何色?――見えないモノを調べる方法」
決して料理が苦手な方々が黒ずんだ、あるいは変な色の料理をつくったものではない。そもそも本章における暗黒物質は「ダークマター」とも呼ばれており、視認することができない物質のことを指している。その暗黒物質は『暗黒』とついているだけあって「黒」と答える方々もいるかもしれないが、実は色自体がなく「視認できない」のである。
数理は一見とっつきにくそうに見えて、実はさわりだけ見てみると奥が深い。もっともそれを深く学ぼうとすると、ある種の「沼」のようにズブズブとハマっていく。そのハマっていけるような数理の窓のさわりを覗くことができるのが本書と言える。
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