ここ最近でもメディアにて取り上げられつつあるeスポーツ。このeスポーツは自治体を始め、企業によっては盛り上がりを見せており、大会を通じて盛り上がりを見せている。
その一方で「eスポーツ」はスポーツなのか、「たかがゲーム」といった風潮も強く、ゲームに対しての認知もできているところとできていないところがあるのも事実としてある。本書はかつてあった「地方創生」をeスポーツを中心に行っている取り組みを紹介している。「続」とタイトルに銘打っているだけあり、本書は2019年に出た「eスポーツ地方創生~日本における発展のかたち~」の続編にあたる。
第1章「eスポーツとは?」
eスポーツは簡単に言うとテレビゲームにて対戦するといったもので、その規模が様々な規模で以て大会としている事を指している。1人でやるよりも、観客の盛り上がりから、対戦相手との心理的な駆け引きといったものが中心である。
第2章「eスポーツの今」
eスポーツと呼ばれる以前は街中や地域でもテレビゲームの大会が多かれ少なかれあった。しかしながら2010年代後半になってくるとオンライン上での大会もあり、なおかつeスポーツの団体や選手が続々と誕生し、盛り上がりを見せるようになってから、「eスポーツ」という競技として認知され、企業も流入していくようになった。
第3章「1人のゲーム好きから広がるボトムアップ型eスポーツ活用~富山県の事例~」
地域的にeスポーツを取り入れ、地方創生を行っている事例をいくつか紹介しているが、本章では代表的に富山県の事例を紹介している。富山県では県で「eスポーツ連合」を設立する、あるいはeスポーツチームのホームタウンとするなどの活動を見せているが、これらは全て富山県で活躍するユーザーが地域・県へと伝播して成り立っている。
第4章「自治体と取り組むトップダウン型eスポーツ活用~徳島県の事例~」
今度は逆に県などの側からeスポーツで地方創生を行い、成り立っている事例として徳島県を挙げている。そもそも徳島県では「マチ★アソビ」と呼ばれるアニメ振興のプロジェクトも実施しているためアニメ・ゲームなどでの町おこしが盛んな地域として知られている。
第5章「地方で取り組まれるeスポーツ最新事例」
実はeスポーツを通して地方創生を行っているのは日本に限らず、海外でも地方都市にて行っている事例も存在している。本章ではポーランドのカトヴィツェや中国の重慶も引き合いに出しつつ、日本でも大分県・岡山県・兵庫県・愛媛県・京都府・群馬県などの事例やさらには国体文化としての発展も取り上げている。
第6章「eスポーツと教育」
高校ではeスポーツを部活として設立する動きもあり、しかも「全国高校対抗eスポーツ大会」といった全国大会や団体まで作られるほどである。
また高校や専門学校によってはeスポーツを専攻とする学校も出てきており、どのような教育を行っているのかも併せて取り上げている。
第7章「コロナ禍におけるeスポーツ」
一昨年末に初めて出てきて、昨年の春頃から日本でも蔓延し始めた新型コロナウイルスはeスポーツ業界にも例外なく影響を受けた。もっとも当初のeスポーツ大会だと、会場で熱戦を繰り広げる、あるいはオンライン上で繰り広げるといった事が多々あったのだが、コロナ禍になってからはオンラインイベントに完全シフトするケースも出てきており、観戦もオンライン上で行うようになった。オンラインでできる特性もあってか切替を行う事によって衰退することなく活性化することができた。
第8章「今、見えるeスポーツの広がりとその未来」
eスポーツはオリンピック競技となるかどうかの議論も絶えない。実際には一度は拒否したものの、新型コロナウイルスの感染拡大も要因の一つとなり、eスポーツのオリンピック(Olympic Virtual Series)が2021年5~6月に開催された。賛否両論はあれど、ゆくゆくは競技として採用される議論が来るのではないかと著者は見ている。
第9章「eスポーツが乗り越えるべき課題」
とはいえ「ゲーム」ならではの課題もある。かつては「ゲーム脳」といったように、ゲーム漬けによって不登校や引きこもりになる、脳機能が低下する、ゲーム依存症は一種の病気だと言うような議論も少なくない。
実際にWHOもゲーム障害に関して指摘しているのだが、実際にはメディアが断片的に取り上げられただけであり、本章では国内外のニュースなどをもとに発表はどのようなものかを取り上げている。また他にもeスポーツ選手に対しての「差別」も課題として挙げられている。
eスポーツを取り巻く環境は国内外にて変化しており、なおかつ規模も大きくなっていることは事実である。実際に「スポーツなのか?」という課題もまた議論の温床としてあるのだが、実際にスポーツとして成り立ち、盛り上がっていることには変わりない。
続・eスポーツ地方創生 新たな展開を見せ拡大し続けるムーブメントの未来
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