おとぎカンパニー 妖怪編

明けましておめでとうございます。本年も「蔵前トラックⅢ」をどうぞよろしくお願いいたします。
新年最初の書評はこちらです。

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本書はタイトルにある「おとぎカンパニー」三部作の3つ目にあたる一冊である。おとぎ話に出てくるキャラクターが会社を構えて、活動を行うというようなショートショートと呼ばれる一冊であるが、本書は「妖怪編」のため、古今東西の妖怪たちが会社をつくって活動をするというものである。

しかもつくる会社がなんとも特徴的である。一例としてはぬりかべがスーツを着て、外壁のセールスを行うという奇怪な会社から、河童が皿などの陶工を行う会社、特に面白かったのがSNS炎上の火消し代行になんと砂かけばばあと、ここまでコミカルに妖怪が会社をつくって活動をした物語は見たことがない。

夏や冬になると怪談で肝を冷やすといったことが多くあるのだが、むしろあまりの面白さに腹がよじれて、腹筋運動となり、寒さ解消につながる一冊ではないかと邪推してしまう。