本書の舞台である「パリ・オペラ座バレエ学校」は実在しており、1713年にルイ14世によって設立されたバレエ学校である。世界最高峰のバレエ学校として名高く、競争倍率も非常に高く、日本の宝塚音楽学校はだいたい20~40倍ほどである一方、パリ・オペラ座バレエ学校は150~400倍(男女差による)とも言われる。
さらに合格してからも必ずパリ・オペラ座バレエのバレエ団に入れるとは限らない。入学してからも様々な試験を通して卒業を行っていかなければならず、合格できなかった者は留年ではなく強制的に退学させられる。さらにはバレエ学校卒業と同時にバレエ団の入団試験もあるため、合格して、バレエ学校へ入学し、そしてバレエ団に入団できる頃には12人ほどしかいなくなる。入学するまで、さらに入学してからも振り落とされる狭き門である。
ただ、熾烈な争いのなかで残ってきたバレエ団員になった方々はスターが多く、バレエ団の最高位であるエトワールはこの学校の卒業生がほとんどである。
そのバレエ学校を入学し、卒業するまでのなかの物語が本書にて描かれている。地域、さらには違う国からも入学者がいる中で、共に親友かつライバルとして描かれている。児童書であるだけに、バレエ学校の良さが見事に映し出されている。違う中でパリ・オペラ座バレエ団に入るための喜び、苦しみ、そして切磋琢磨している姿がダイレクトに響く一冊と言える。
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エリザベット・バルフェティ/高野 優 竹書房 2021年03月18日頃
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