今年は「ラニーニャ現象」により、厳冬とも言われている。関東でも朝は氷点下になることもままあり、故郷である北海道では吹雪・大雪に見舞われ、場所によっては慢性的な交通障害も起こっている。
もっとも気象において「異常」と呼ばれるのは今に始まった話ではなく、年がら年中起こっている。特に夏にかけては台風や豪雨、さらには酷暑に見舞われるほどである。
そのような中で食や農業がどうなっていくのかにも連結しているのだが、農業を憂うのは何も気象の変化だけではない。「飽食の時代」であるにも関わらず、多くの食糧を海外に依存している。それ故かマクドナルドをはじめ多くのところで新型コロナウイルスの物流の悪化に伴い、ポテトの販売を休止する動きも見られた。
本書はそのような食と農業からどのような未来を見出していくのか、そのことについて取り上げている。
第1章「日本の食と農のいま」
食の海外依存は止まらない。ここ最近でも食料自給率はカロリーベースでも37%(農林水産省の資料より)と依存が進んでいる。
ではなぜ食糧を海外からの輸入に依存が進んでいるのか。その根底に農業の根底的な構造問題はもちろんのこと、食への関心といったものが挙げられる。特に冒頭でも取り上げた新型コロナウイルスにおける物流の悪化により、依存している食糧がなくなり、販売や加工ができなくなるといったリスクが顕在したと言いようがない。
第2章「この時代に農業を仕事にするということ」
農業そのものの構造問題や現状があるとするならば、解決していくための動きも当然ある。それは政府や団体もあるのだが、特に個人や企業によって農業進出を行い、新しい農業の方法を提示するといった所も出てきている。もっとも農業を始める、いわゆる「就農」はどのようにして行われていくのかを取り上げている。
第3章「持続可能な農業としての「有機農業」を地域に広げる」
ここ最近では農業にて「有機農業」が増えてきているという。就農を行う際のサポート体制の中で有機農業を中心にしたサポートを行う所も出てきており、近代的に農薬を行う農業からシフトしているという。
第4章「食と農のつなぎ方」
農業で生産したものを出荷するといった事になると卸売業者などを媒介として小売業者などに販売されるケースがほとんどであるのだが、中には産地直送や直接販売といった卸売や仲卸を介さずに行う所も出てきている。生産者と消費者双方にてWin-Winの価値を見出すという動きも見られている。他にも農協を通して学校などに出荷を行う方式にて地産地消にも取り組んでおり、自治体がサポートするという動きも実在している。
第5章「食と農をつなぐCSAの可能性」
ローカルフードシステムの一つである「CSA(Community Supported Agriculture:地域支援型農業)」の可能性と、実際の動きを提示している。CSAの動きは地域単位で行っている所もあれば、企業が農業進出を行い、サポートを行う動きもある。
第6章「都市を耕す」
都市部になってくると工業や商業などの開発が著しく、農業が入る隙が無いように思える。しかし都市でも農業を行う動きも見られており、特に近郊の都市で農業を行うところも出てきている。
農業は廃れてきているといったことはメディアでも盛んに取り上げられているのだが、その廃れていく中にも成長する可能性を秘めている。それは企業においても、これから農業を始める方々にとっても「チャンス」がある。未来は全て明るいというわけではないのだが、ポジティブな要素は必ず存在している。その明るい部分が本書に秘めている。
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