もはや私たちの生活において欠かせない衣服となっているジーパン。かくいう私も普段はジーパンを穿き、外に出かけることが多い。それだけ私たちの生活に浸透してきているものはない。
しかしながらかつて「ジーパン」は作業着というイメージがあり、忌み嫌われていた。ご年配の方々の中にはジーパンとなると普段穿いている方々に対して不快な思いをされる方もいる。
とはいえスタンダードなズボンの一つとなっているジーパンだが、日本製のジーパンはさほど多くなく、貴重なものでもある。本書は著者自身が「ドゥーニム」や「リゾルト」と呼ばれるジーパンブランドをつくり、日本のジーパン界を席捲している方がどのようにして日本製のジーパンを生み出していったのかを綴っている。
第1章「私が作る「日本のジーパン」」
著者のつくるジーパンは「4型」のみである。特に著者が立ち上げたブランドの一つである「リゾルト」のジーパンでは4型にこだわる理由と、それぞれのつくりについてかなり具体的に説明している。
第2章「日本のジーパンはこうして生まれた」
ジーパンのブランドとして頂点に君臨しているのが「リーバイス」である。ジーパンについて知識が無くても「リーバイス」という名前だけは知っている方も多いことだろう。本章ではこのリーバイスのジーパンとリゾルトのジーパンの比較を行っている。
では、そもそもなぜジーパンが生まれ、日本に伝わり、そして日本独自のジーパンができるようになったのかについても言及している。
第3章「私がジーパンづくりに魅せられた理由」
著者曰く、
ジーパンはファッションではないp.115より
と主張している。根本的な所としてそもそもジーパンはアメリカにて生まれたが、鉱山で働く鉱夫たちのためにつくられた「作業着」だった。その考え・哲学に回帰しつつ、今日のジーパンをつくっている。ではなぜジーパンをつくるようになったのか、そして魅せられたのかを綴っている。
第4章「ものづくりの現場が教えてくれた」
「ドゥーニム」にしても、「リゾルト」にしても、できるまでの道は順風満帆ではなかった。ものづくりの現場であるため様々な試行錯誤があったのだが、そこで学んだことも多くあったのだという。
「日本でジーパンをつくること」へのこだわり、そしてジーパンそのものに魅せられ、つくりつづけていく思い、私たちのなかで深く浸透しているジーパンであるが、つくるがわの思いを知ると奥が深い。その深さを垣間見た一冊であった。
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