見えない星に耳を澄ませて

今年は非常に寒い。しかし寒いとなると空気は澄んでおり、夜空を見上げると星々がけっこう見える。場所によっては天体観測のように、満天の星々を観ることもできると言う。

その星になぞらえているのが人の心である。星の数だけある、と言う言葉は当てはまらないのだが、人それぞれの心情や考え方などがある。中には心の傷を負い、見えなくなってしまうことも多々ある。それを音楽療法で癒やす音楽療法士を目指す人の物語を本書にて描いている。

元々はピアニストを目指すために音大に入ったのだが、その講義の中で「人の心を癒やすための音楽」に初めて出会った。その出会いから音楽療法に興味を持ち、音楽療法士への道に進むこととなった。その進んでいく中で繊細な心とその傷と向き合い、音楽を通して癒やしていく姿、そして主人公も含め様々な人が映し出す「闇」と「傷」が何ともいえなかった。