コロナ第6波が猛威を振るっている。現在ではまん延防止等重点措置を行っており、いつ再び緊急事態宣言が出るのかということ、さらにはワクチンや飲み薬がどうなっていくかと言う動きもあるのだが、今日でも満員電車に揺られながら通勤・通学するサラリーマンや学生もいる。
日本はテレワークやデジタル化といった動きは見せていたものの、コロナ以前の動きはかなり鈍かった。それがコロナの影響かどうかは不明だが、日本はデジタルやテレワークに大きく出遅れているといったイメージを持たれてしまった。そう言う意味で日本の経済・労働に対してのネガティブイメージがあるのだが、著者は逆に復活できる底力を秘めているという。それはどこにあるのか、本書にて示している。
第1章「「不思議の国」日本の底力」
第5波が終わって、第6波が来る前までは、欧米諸国や韓国などでは連日感染最多を更新したにも関わらず、数十人~数百人程度だった。昨年の10月から年末にかけての事である。その時に海外のメディアでは「不思議の国・日本」と称して、感染対策が緩いにもかかわらず、なぜ感染者数が少ないのか、といった疑問を投げかけた。その根底として日本人の衛生意識などを本章にて列挙している。
第2章「テレワークがあぶり出した日本の組織」
特にコロナの第1波の所で急速にテレワークに踏み切る企業も多くあった。そこからオフィスワークに戻り、次々と感染拡大を見せても、テレワークを実施しては戻る企業、テレワークに振り切る企業、そしてオフィスワークのままにする企業と大きく分かれており、特にオフィスワークのままにする企業も多くあった。
もっともテレワークに踏み切ったことにより、日本企業の慣行・組織などの弱点があぶり出された。それを元に戻す企業もあれば、根底から対策を行おうとする企業も出てきている。
第3章「デジタル化に大わらわ」
よく「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」と言う言葉をよく聞く。企業内外でのデジタル化を進めて言っているが、そのきっかけもまたコロナによるものが多くある。特に急速に広がっていったことにより、デジタルに関しての認識が組織的、あるいは人材面で不足・欠如している所があぶり出され、企業によってはタイトル通りの大わらわになる所もあった。
第4章「逆張りのグローバリゼーション加速」
経済的な「グローバル化」はコロナ以前からもずっと進んでいる。その中で対外投資はどうなっているのか、またどう進めていけば良いのかを示している。「どう進める」の中に「逆張り」がヒントとなっている。
第5章「コロナショックが日本の産業を強くする」
「ピンチはチャンス」と言うべきなのだろうか。コロナによって倒産・廃業に追い込まれる所、業界の面で衰退する所もあれば、逆にうなぎ上りになる企業・業界も存在する。しかしコロナに関連した産業が急速に広がりを見せて、売上・利益を伸ばしている所も少なくない。またコロナである・ないにも関わらず安定して成長している企業もある。いったいどこに要因があるのかなども取り上げている。
第6章「雇用と人事、改革待ったなし」
「チャンス」をつかむためには、人も企業も改革を行ってく必要がある。しかしながら現状維持を求めるような抵抗勢力も少なからずいる。改革を行う事によって、長らく持っていた膿を出し新たな成長を生み出すような環境をつくることも一つの手段であるという。
第7章「成長への心理的エネルギーが最大の鍵」
コロナに伴う「自粛」が止まらない。しかし「自粛」と「萎縮」は違うのだが、実際には「自粛」ではなく「萎縮」が止まらないというべきか。それはコロナをチャンスとしてとらえられず、むしろピンチとしか考えていない人たちがおり、それが成長にたいして妨げとなってしまうのである。成長を行って行くには具体的なメカニズムもあるのだが、「心理」といった精神的な側面も存在する。精神的に成長へとどうシフトしていくか、そのことについて取り上げている。
日本の企業にはチャンスが多く転がっている。しかしチャンスは逃すと表れないように、現状維持や萎縮といったネガティブなところに居座り、みすみす逃しているのが現状としてある。それをいかに変えるべきか、それを考えるきっかけが本書にある。
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