サステイナブル・ライフ―自分も社会もすり減らない生き方

本書のタイトルにある「サスティナブル」は英語に変えると「Sustainability(持続可能性)」を意味している。ここ最近取り上げられているSDGsの「S」も「Sustainable(持続可能)」を頭文字を取っているため、わりとホットな英単語の一つと言える。

そもそも生きている中で持続できる事は当たり前のように見えるのだが、本書を読んでいくと、その「当たり前」と思っていた概念が一気に崩れた。著者はガーナで起業をしたのだが、その直後に舌がんにかかってしまった経緯を持つ。その中で「サスティナブル」な人生・社会を見出した。では「サスティナブル・ライフ」とはどのような人生を表しているのか、本書はそのことを取り上げている。

第1章「舌がんになって急変した生活」

著者は31歳で舌がんにかかってしまった。もちろん手術・治療経て快復したのだが、闘病生活の中で、自らの「生活」自体も急変し、生きることの意味、さらにはサスティナブルに生きるための考え方を気づかされた。

第2章「セルフケアがサスティナブルな「体」をつくる」

人生は当たり前のように持続していくように思えて、いつ死ぬかわからない。また生き続けられたとしても、仕事をするなど活発的な人生を送り続けることもわからない。その「わからない」中でどのような体づくり、さらにはケアを行っていくかが大切になる。

第3章「サスティナブルな社会とビジネス」

「維持」をして行くのは何も自分自身ばかりではない。「社会」そのものも持続的な社会をつくっていくことが世界的に大切になってきている。その手段や枠組みの一つに冒頭で取り上げた「SDGs(持続可能な開発目標)」である。本章ではオランダ・南アフリカ・ガーナ・フィリピンと活動していく中でビジネスを通して「サスティナブルな社会」にして行くかを提示している。

第4章「「サスティナブル・ライフ」にたどり着く前のこと」

著者が起業し、舌がんに罹る前、どのようにしてサスティナブルな人生を送ったら良いかを考える時があった。経済的自由なのか、精神的自由なのか、それとも女性の社会進出なのか、様々な事を考えていく中で出た解として「ガーナで起業」があった。

第5章「サスティナブルな「心」をつくるアフリカの教え」

ガーナで起業し、ビジネスを展開していく中で、ガーナを含めたアフリカにおける「サスティナブル」を体験した。そこにはサスティナブルは「心」でつくることが挙げられている。これは日本には無いわけではないが、あまり大事にされていない現状の中で、最も重要なことだと著者は身をもって知った。

本書を読んでいくと、「当たり前」のように流れている人生は決して当たり前ではないこと、さらに今ある人生を「持続する」のではなく、「より良く持続する」こと、また感じる幸せをどう求めていけば良いかを考える一冊だった。