サクッとわかる ビジネス教養 行動経済学

「行動経済学」とは、

実験などで観察される人間行動を基に構想された経済学。ホモ‐エコノミクスを前提とする経済学の非現実性を克服する意図をもつ「広辞苑 第七版」より

とある。経済学の中でも特に実践的かつ、ビジネスの要素でも扱われやすい分野とも言える。その一方で「経済学」であるため実践的でありながらもとっつきにくい分野とも言われている。本書はこの「行動経済学」を基礎から学び、ビジネスの場においてどのように役立てていけば良いのかを示している。

第1章「基礎から学ぶ! 知って得する行動経済学の考え方」

「経済学」と言うと「ミクロ」や「マクロ」「原論」といった学術的な要素があるのだが、本書で取り上げる行動経済学は、経済学でありながら、冒頭にも記載しているとおり、「人間における行動」を前提にした学問である。人間の行動の中には「心理」が動いている部分もあるため、心理学の学問、さらには経済的な行動の一つとして購買もあるためマーケティングにも絡んでくる。

第2章「人間らしい心の動き ヒューリスティック」

人間の「心」も様々であるが、その「様々」を法則や効果などで定義づけている。それを総称して「ヒューリスティック」とも呼ばれている。

第3章「意思決定の仕組み プロスペクト理論」

購買などの「意思決定」をどのように損なっていくか、価値や損失、リスクといった観点から分析を行っていくといったものがあるのだが、それらを行っていく理論を「プロスペクト理論」と名付けている。

第4章「マーケティングに活かす! 行動経済学の活用事例」

行動経済学は人間の心理や行動を経済に結びつけているため、マーケティングの場でも活用できることが多くある。実際に行動経済学をもとマーケティング活動を行い、成功した事例も数多くある。

第5章「行動経済学の目玉! ナッジ理論」

「ナッジ理論」とは、

2017 年にノーベル経済学賞を受賞した米シカゴ大学のリチャード・セイラー教授によって提唱された理論です。ナッジというのは「肘でつつく」とか「背中を押す」という意味合いであり、人々を強要するのではなく自然に良い方向へ誘導し、自然な形で行動変容を促すようにするための理論です日本証券業協会「ナッジ理論とは何か?」より

とある。行動を起こすために、他者から背中を押すといったものがあるが、まさに「ナッジ」のことを表しているため、ナッジ理論自体、タイトル通り「目玉」である。本章ではナッジ理論について実例としてどのようなものがあるのかを取り上げている。

第6章「ビジネスに役立つ! 行動経済学の応用法」

行動経済学はビジネスの場で扱われやすいが、どのように使っていけば良いか、本章では「応用編」として取引先との交渉から、決断。さらにはビジネススキル向上などを伝授している。

一見学問的な「行動経済学」のように見える。確かに学問と言えば学問であるのだが、より実践的な経済学であり、なおかつビジネスの場で活かすことができる学問こそ「行動経済学」である。実際にビジネス理論や実践的なビジネス書の中でも行動経済学を扱う本も数多くある。

実際にどのように扱っているかは本書の他にいくつもあるため、本書はあくまで行動経済学の基礎を学ぶための「ベースキャンプ」の位置付けであり、そこからビジネスにおいて実践的どう取り組んでいけば良いかをいくつもの本で学び、実践していくことにより、体系的に理解を深めることができる。