恭一郎と七人の叔母

母子が実家に住んでいるが、その母は8人姉妹で、主人公である子供には7人の「叔母」がいることになる。しかもその叔母たちの中には夫や子もおり、同じ実家で暮らしており、さらには子供から見て祖父母・大叔父・大叔母、曾祖父とみるからに大家族であり、なおかつ何人暮らしかとさえ思ってしまう。

人数的な意味で騒々しい家族の悲喜こもごもを描いたのが本書である。ハートフルなストーリーでもなく、家族のいざこざでもなく、淡々とした「日常」がそこにある。

しかしその「日常」のなかには多かれ少なかれ「事件」や「出来事」が存在する。その出来事はその家族でしか描けない、その家族でしか起こりえない事ばかりであり、家族の大切さを描いているのだが。二世帯どころか何世帯住宅かわからないような状態であり、どこまで大きな家なのかすら想像できなかった。日常のようでいて、ある意味「非日常」のような家族構成を感じてしまう一冊であった。