夢魔の牢獄

本書の主人公である教師はタイムリープして人に憑依をするという特殊な能力を持つ。その能力をもって迷宮入りした殺人事件の解決に挑むというのが本書である。かこにタイムリープしているだけに、その人の体験を肌でもって感じることができる。

迷宮入りした殺人事件は主人公の恩師の義理の息子が殺されたというものであり、その謎を追いたいと言う思いから解決へと踏み入れる。憑依先の友人たちの証言や行動を見ていき、解決へと行くのだが、行動や言動にも不可解な点が多く、「迷宮入り」の如く、謎は深まるばかり。

体験自体もある種官能小説のような部分があり、アブノーマルの感もあるのだが、物語が進んでいくうちに、謎が解けていき、真実が見えてきた。その「真実」も意外なものである。本格的なミステリーを愉しみたい人であれば適した一冊と言える。