絆徳経営のすゝめ ~100年続く一流企業は、なぜ絆と徳を大切にするのか?~

そもそも企業は人によって成り立っている。その人は様々な「絆」で持って成り立っている。「絆」という支えがあって企業はつくられ、育っていく。しかしながら育っていった中で様々な者に惑わされてしまい、いつしか「絆」を忘れてしまう人も少なくない。

そこで本書である。本書は「絆」と「徳」を合わせた「絆徳(ばんとく)経営」とは何か。そしてそれを成し遂げるにはどうしたら良いかを示している。

第1章「これからの最強の資産は「絆」である」

冒頭でも書いたとおり、多かれ少なかれ「絆」があって会社がつくられ、育っていく。その「絆」の中には創業者と周囲の方々の支え、新しく迎える社員たちや取引先など挙げるだけでもきりがない。その「絆」はだんだんと大きくなっていき、資産となる。それはSNSを中心とした時代であっても方法や有り様は変われど、本質は変わりない。

第2章「絆徳経営でピラミッド型から「丸ダイヤ型」を目指しなさい」

よく会社の組織図としては「ピラミッド型」であることがほとんどである。もちろん中には違う形の組織図になっているところもある。しかし本章ではよくあるピラミッド型から「丸ダイヤ型」の経営にすることで「絆徳経営」が成り立つという。そのプロセスも併せて提示している。

第3章「分断を生み出す「7つの罠」とは?」

経営において「分断」は何を表すか。簡単に連想すると人との「絆」がなくなり、関係が「分断」されるといった方が良いのかもしれない。その「分断」によって「絆」が失われ、チャンスまで失ってしまう。その分断を生み出してしまう「罠」と、その対策を取り上げているのが本章である。

第4章「絆がどんどん強くなる「5Kマーケティング」」

本章では「絆」を強くするための「マーケティング」として「5Kマーケティング」を提示している。その5つのKとは、

「企画」「きっかけ」「関係」「感動」「絆」

の頭文字が全てKであることから「5K」としている。精神的な部分というよりも、その中には情報や対話、さらには価値提供など、よくマーケティングの現場でも使われているものばかりである。

第5章「社員との絆が勝手に強くなる「絆徳の人事」」

「絆徳」の本質は「人の絆」である。その絆は自社と顧客といったものばかりでなく、社員同士の「絆」を強くすることも一つである。それを成し遂げるためには「人事」の立場がどうしても必要になる。人事の立場からどのように「絆徳経営」を成り立たせていくのかを本章にて提示している。

第6章「世界と絆を結べば、いつまでも幸せになる」」

スケールの大きい章であるが、人の絆は万国共通である。日本のみならず世界中の人びとと絆をつなげていくことによって日本、もとより世界への発展につながるのではないかとしている。もちろん理想論かも知れないが、絆をつなげることは会社のある地域はもちろん、そこから市区町村、都道府県、そして国と少しずつ展開していくことも大事であるとしている。

「絆」をわかっていても、実際にそれを基軸にした経営や実務を行えているかというと、なかなか難しい。絆は目に見えないと思うが、実際は様々な縁によって会社、もとい売上につながる部分もある。もっともその「絆」はかけがえのないものであり、大切にすることもまた会社自身にとっても、社会にとってもプラスになる。そのことを本書ではうたっているのではないかと考える。