感染が広がってから2年を経過しているのだが、未だに猛威を振るっている新型コロナウイルス。元々初めて発見されたのは2019年中国の武漢であり、そこから武漢から国・地域関わらず感染が広まっていった。
日本では2020年1月に初めて感染が確認されたのを皮切りに感染が広がっていった。しかしその前後の「水際対策」についても行われていたのだが、それに対する批判もあった。本書では、国際線の玄関口の一つとされた成田空港検疫で何が起こっていたのか、当事者の立場から綴っている。
1章「嵐のような日々」
嵐のような日々は世界で初めてコロナによる肺炎が発生したときからである。2019年末の話であり、年末年始を直前にしたときの出来事である。その時からコロナの水際対策に向けて動き出していた。その対策に対してのクレーム電話も殺到し、一時期は身動きが取れなくなるほどだった。
初めて感染が出るまでのプロセスが綴られているが、実際の水際対策と窮状がありのままに綴られている。
2章「パンデミック下でのオリンピック・パラリンピック」
元々東京オリンピックは2020年に開催される予定だったが、コロナが世界的流行になったことにより、同年3月に延期が発表された。その後2021年の7月~8月にオリンピックが、8月~9月にパラリンピックが開催された。
それに向けての対策も検疫所にて委ねられ、試行錯誤が繰り返された。時には首相をはじめとした政府の要人も視察に訪れ、指示をもらうこともあった。そうして検疫体制を整えていったという。
3章「検疫と水際対策」
そもそも成田空港の検疫所では主にどのような仕事が行われているのかを解説している。昨今では新型コロナウイルスが主となっているが、それ以前にもエボラ出血熱など重大な感染症もあり、それを防止するための機関である。しかも検疫は人ばかりでなく、動物や食品などの相談・指導・調査などもまた役割としてある。ちなみに検疫所はどこの空港・船舶にもあり、それは全て「検疫法」をはじめとしたいくつもの法律にて定められている。
4章「コロナ前夜」
コロナのように世界的に大流行が続き、今もなお続いている。しかしながら世界的にパンデミックとなったのはコロナばかりでなく、13年前には「新型インフルエンザ」などがある。他にもパンデミックとまでは行かなかったが2014年のデング熱騒動や2003年のSARSの出来事についても綴っている。
特に1章の水際対策の現場はありのままの姿が映し出されていたと同時に、その時にマスク不足の騒動があったのだが、それとほぼ同じようなことがあった。検疫所は特にウイルス・疫病などの最前線に立っている方々であることは紛れもない事実である。コロナをはじめ、パンデミックに対する教訓として後世に残すべき一冊と言えよう。
成田空港検疫で何が起きていたのか ─新型コロナ水際対策の功罪─
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