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2022年3月

紅蓮浄土 石山合戦記

信長軍に家族を殺され、そして生き残った少女の波乱に満ちた物語である。織田信長に復讐を果たすため忍びの道へ進んだ。 そしてそこでついに念願だった信長軍との戦いに参加するのであった。ちなみにその戦いは「石山合戦」、1570年~1580年と長きにわたってあった戦いである。摂津国大坂(現在の大阪城付近)に石山本願寺があり、少女は厳しい修行の末、本願寺護法衆の忍びとしての道を踏み出した。 その石山合戦は先述 […]

オッペケペー節と明治

時代において様々な「流行」が存在するが、本書で紹介するのは「オッペケペー節」と呼ばれるものである。今となっては奇天烈な印象を持たれるが、実はつくられたのが1889年(明治22年)であり、そこから上方落語の舞台から東京へと広がり、やがて全国に広まった歌である。またわずかにではあるものの、音源・動画も残っているほどである。 なぜ「オッペケペー節」が生まれ、関西を起点に流行していったのか、そしてそれにま […]

フーガはユーガ

双子は必ずしも性格や傾向が同じというわけではない。「一卵性」や「二卵性」関係なく、境遇はもちろんのこと、価値観、人生経験など様々なことがおりなって、一緒の2人からやがて「1人の人間」が2人と成り立つ。 しかし奇遇にも同じような境遇を受けるといったケースも少なからず存在する。そこで本書である。本書は双子が誕生日に遭遇したある不思議な現象があった。それを武器に悪に立ち向かうという、ある種のロールプレイ […]

食虫植物の文化誌

「食虫植物」は珍しいようでいて、なかなかお目にかかれない。しかし国内外問わず、類があり、美しい食虫植物も存在する。その一方で、映画や小説などでは「人喰い植物」の題材として扱われることもしばしばある。 そもそも食虫植物はどうして存在してきたのか、またどのような進化を遂げ、なおかつどのように捕食を行っているのか、本書はめくるめく食虫植物の世界を取り上げている。 第1章「食虫植物とは」 「食虫植物」は、 […]

ぜにざむらい

本書は戦国時代、江戸時代にて活躍した武士、岡左内(おか さない・岡定俊の通称)を描いている。岡の逸話として利殖の巧さにより、多くの金銭を抱えていたことで知られており、その銭を戦の際に持ち歩く、あるいは多くの銭を敷き詰めて昼寝すると言ったことを愉しみとしていたという。本書の表紙にもその片鱗を見せている。 そう考えると守銭奴のようにも見えるのだが、会津征伐の際は当時の主君である上杉氏に銭を献上、同僚の […]

コロナとオリンピック―日本社会に残る課題

現在北京にてパラリンピックが行われているのだが、実際に北京は北京で、日本とは異なる部分で課題を突きつけられている。もちろんこれから取り上げる東京オリンピックと同じような問題は一部抱えているものの。 本書は昨年行われた東京オリンピックが開催されたのだが、そこで出てきた課題と、社会における変遷についてを取り上げている。 第一章「東京オリンピックと2020年―聖火リレーの到着と大会の延期」 2013年に […]

虜囚の犬

今までいくつか小説を読んできて、なおかつ猟奇的なもの、陰鬱なもの、さらには狂気に満ちたものなど色々と読んできたのだが、おそらく「猟奇」や「狂気」といったものをこれほどまでに描いている小説はあまりお目にかかれない。 本書で出てくる被害者の一人にある少年がいるのだが、その少年は女性たちを監禁するといったものだが、監禁した先もブログでは表現できないほどグロテスクなことを行っていた。しかしその少年は違う場 […]

カミュ伝

小説「異邦人」やエッセイ「不条理」はもちろんのこと、演劇として「カリギュラ」「誤解」といった作品をも生み出していったフランス文学の代表的人物の一人にまで上り詰めたアルベール・カミュ。栄華も極めており1957年にノーベル文学賞を受賞したことでも知られている。 1960年に交通事故で逝去したが、その後もいくつか話題となった。特に2020年あたりから続く新型コロナウイルスの感染拡大において、小説「ペスト […]

向島・箱屋の新吉

江戸の向島にて箱屋をしている男が主人公で、そこにて出くわした事件を解決するために奔走する一冊である。そもそも箱屋とは、 1.箱を造り、またはそれを売る家。また、その人。 2.御座敷に出る芸妓に従って、箱に入れた三味線を持って行く男。はこまわし。はこもち。はこ。「広辞苑 第七版」より とある。特に本書では2.の意味を指している。表紙にも男性が黒い長方形の荷物を持っているのだが、この中には三味線が入っ […]

メタバースとは何か ネット上の「もう一つの世界」

ここ最近、国内外の企業において「メタバース」に参入する動きが見られる。特に主要企業の多くはメタバースに対してビジネスチャンスがあると思われている。そもそも「メタバース」は、 ネットワーク上に構築される,三次元グラフィックの仮想空間。利用者はアバターを操作し,仮想空間に参加する。「大辞林 第四版」より とあり、よくあるオンラインゲームをさらに拡大したものである。もっと言うとVR/ARもその一例として […]