うつりゆく日本語をよむ―ことばが壊れる前に

日本語は時代と共に絶えず「変化」する。このことは今も昔も変わっていない。しかしその「変化」に対して、批判的に主張する人も少なくない。その論調からか「日本語の乱れ」と称するケースもある。

日本語に限らず、言葉は時代背景の変化に順応することもあり、言葉によっては壊れ、誕生する。本書はその日本語の乱れと変化について追っている。

第一章「壊れた日本語」

「壊れた」と記載している意味としては本書のメインテーマとして「書きことば」がある。よくビジネスの文書を作成している方もいるかと思うが、文書を記載した際に「話しことば」と「書きことば」を混同してしまい、上司から指摘を受ける人もいることだろう。

他にも日本語には比喩をはじめ多様な表現技法があるが、うまく使いこなせず、変な表現になってしまう、あるいは略語も出てきているが、略しすぎて原形をとどめていない表現・言葉まで出ている。

第二章「「私」の時代の書きことば」

そもそも「書きことば」とは何か。正確に言うと「書記言語」といわれており、

文字を媒介とする言葉。文章として書き,読む言葉。文字言語。また,文章に用いる言葉。文語。文章語「大辞林 第四版」より

とある。つまり当ブログのように文字という「形」にして伝える役割を持つ。表現体系は話しことばで用いられるものとは違い、文法や表現などの「型」が存在し、重要視される。よくビジネス文書や書類の書き方、さらには研究を行う際のレポートや論文など、お堅い場でよく使われる。

第三章「ことばの変化を見る」

とはいえ、言葉は時代と共に変化する。「書きことば」もまた、メール・ブログ・SNSと文章にして伝えるツールが増えたことにより、話しことばがそのまま文章に反映されることもある。そう考えると「書きことば」はどうなっていくのか、そのことについて取り上げている。

第四章「「書きことば」の復権」

では「書きことば」は廃れるのかというと、決してそうではない。オフィシャルなやりとりの中で息づいていること、また新型コロナウイルスの感染拡大により、オンライン上でのやりとりが求められる中で、どのように伝えていくか。「書く」ならではの表現や型にも参考になるものもある。「復権」はそのことを意味しているのではないだろうか。

日本語は「変化」する。変化は時代と共に進化することもあれば、古き良き表現が使われなくなり廃れること、さらには正しい読み方であっても「俗用」が広がりを見せて一般化する動きもある。その意味で「うつりゆく」と銘打っていると言える。