国家と移民 外国人労働者と日本の未来

言うまでも無いが日本は「島国」であり、江戸時代の末期までは鎖国を行っており、一部の国を除いて国交関係を絶っていた。そのため外国人の受け入れに対しても忌避する人もおり、幕末の開国になってようやくその動きを見せた。しかしながら生麦事件鎌倉事件をはじめ外国人襲撃・殺傷事件が起こった。

やがて時は過ぎ、いくつもの戦争を経て、観光目的で外国人が日本にやってくることはごく普通の光景となり、さらには仕事や学業などで日本にやってくることも日常になった。本書はその中で稼ぎと夢を求めて日本にやってくる外国人、よく「外国人労働者」と言われるが、その環境と「移民」のあり方を問うている。

第一章「外国人労働者をめぐる環境」

外国人が様々な目的で日本にやってくることは言うまでも無いが、中には「入国管理局」あるいは「入国管理センター」にて審査が通るまで入所する傾向もある。しかしその入国管理局および管理センターをめぐっての事件もある。また移民して労働を行う風潮についても「不法就労」という言葉、あるいは野党側も「搾取」を行うといったところもあるという。

第二章「外国人労働者奮闘記―モノ扱いが横行する現場」

本書は実際にあった外国人労働者に関しての記録である。実際に就労した労働者がどのような境遇を受けたのか、そして労働者を受け入れた会社、および経営者はどのような扱いを行っていたのか、全部で16のケースを取り上げている。

第三章「「外国人」受け入れ政策の歴史」

外国人労働者を受け入れる動きは戦前からあり、実際に政策として出てきたのは1980年代の「オーバーステイ容認政策」の時からである。それから法や制度の整備が進められ、外国人労働者の受け入れも進んでいった。

第四章「これからの移民社会」

外国人が夢や仕事などを求めて移民していく動きはこれからも続く。しかし移民に対しての意見は賛否両論はある。とはいえ「移民社会」は進みつつある中で、私たち日本人、さらには国家としてどうすべきなのか、その方向性を提言している。

日本は外国人の受け入れがまだまだ進んでいないのが現状である。それは国家としてだけでなく、日本人の中にも外国人に対する忌避が強い部分も存在する。さらには外国人に対する差別も根本としてある。その根本をどう変えていくか、日本どころか私たちの意識にかかっている。