毎日世界が生きづらい

世間もさることながら、昨今の世界は「生きづらい」社会となっていることには間違いない。もっとも生きること自体が苦しいことも含まれている。

本書の話に移るが、会社員と作家の夫婦。その二人の間にも子供が生まれ、生活面でも支えていかなければならなくなる。金銭面はもちろんのこと、方や作家の側は出版すらこぎ着けない毎日であるため、半ばニートのような状態である。作家といった書いて売れる立場はどうしても当たり外れがありながらも、書き続けなければならない。さらには本当の意味で食べていけるのは一握りどころか「ひとつまみ」の稼業である。

そのような夫婦の中にも必ず「幸せ」が存在する。その幸せを求めて、「生きづらい」日常を紡ぎ続けている。本書はあくまで夫婦の日常を描いているのだが、独り暮らしであっても、子供が数人いるような家族であっても、内容は違えど「生きづらい」部分は必ずあり、反面「幸せ」も存在する。その「幸せ」をつくる、あるいは見つけることから始めるのでは、と本書を読んでそう思った。