食いしんぼう同心 謎を食らわば皿まで

幕府における下級役人を総称して「同心(どうしん)」と呼んでいる。本書は奉行所で随一の切れ者と称される同心と、食に目がない、ある種水戸黄門に出てくるうっかり八兵衛のような同心見習いの2人が事件を解決するという一冊である。

方や同心は切れ者である一方で真面目さが性分であるが、もう片方は食べものに目がなく、ある種おちゃらけているように見えるが、事件などの解決になると、同心に引けを取らないほど真剣さを見せる。凸凹のように見えて、実はともに信頼し合っているような節さえ見て取れる。

この2人が謎の絵文を発見してから起こった事件。イタズラのように見えて、実は犯人が同心に対しての挑戦状のようだった。しかしその挑戦状に対して2人の同心は謎を解き明かしていく。しかし解き明かしていく中にはもちろん同心見習いの好きな「食べ物」「料理」がどうしてもつく。推理と料理の2つの「理」を楽しめる一冊と言える。