悪い女 暴走弁護士

ある事件を起こして、通報する。その後に自首して逮捕されるといったニュースを見ることが時々ある。本書はそういった事件を描いているのだが、深層はかなり深い。

よくある保険金殺人を描いているように見えて、夫や家族に対する愛憎もあれば、事件を起こした苦しい事情、そして裁判にて明かされる事実と闘いと、事件と弁護、さらには裁判に至るまでのプロセスにて次々と明かされていくのだが「動機」が一番のキーとも言える。

それは「犯人」の視点からなぜ事件を起こしたのか、そしてそれを起こすまでに何があったのかを事細かに描かれており、犯人に対しての感情移入がしやすい一冊である。もちろんその事件と裁判の顛末を見ていくと「救いようがない悲しさ」がものの見事に出ており、読み終えた瞬間、もの悲しさが残る感情に襲われた。