ふと「お金」とは何かと考える事がある。もちろんお金がなければ生活ができず、なおかつ夢や目標を達成するなどを行う際に使う「ツール」の一つとも言える。しかしお金にまつわる諺などもあり、「金は天下の回りもの」といった有名なものもある。
お金はツールであれば割り切れるのだが、中にはお金に関してトラブルを抱えてしまい、事件を起こしてしまう事例も少なくない。そもそもなぜ「お金」は存在するのか、またお金を基軸にした「資本主義」とは何なのかなど、紐解くとキリが無い論題について「超訳」といった形で取り上げている。先に断るが本書は普段の「超訳」とは異なる。よくある超訳は限りなく要点だけにして表すのだが、本書は独自の観点で端折り説明している。
PART1「バランスシートから資本主義が生まれた」
会社などは所によるが、たいがい年に1回決算を行う。その中で出てくるのが貸借対照表や損益計算書などの「バランスシート」である。そのバランスシートの仕組みと「借金」、さらには家や生産性、投資などについて取り上げている。
PART2「会社はいったい誰のもの」
現在のパナソニックの創業者である松下幸之助の言葉に「企業は社会の公器」というものがある。「企業」もとい「会社」自体は、利益を追求しながらも社会的な責任を背負う。また社会に対してどのように貢献していくかもまた会社としての責務としてある。
しかし本章ではそういうことではなく、社会のためのものではなく、経営者・従業員・株主の関係から紐解いている。
PART3「儲からない会社は潰そう」
日本における株式会社の数は2,307,735社(2022年5月現在、「上場企業リサーチ」より)とある。上場企業はもちろんのこと、上場していなくても会社の大小関わらず、様々な会社がある。しかし著者に言わせたら立ちゆかなくなっている会社、さらには非効率な会社はなくした方が良いとしている。また就職活動はもちろんのこと、労働のあり方などについても言及している。
PART4「税金と賃金の仕組み」
税金と賃金は関係が無いように見えて、少なからず存在する。賃金を得ることによって収入・所得となり、そこから住民税・所得税(源泉徴収)が差し引かれる。しかし税金の用途は様々であり、社会保障に一部あてているのだが、果たしてそれが正しいのか、また賃上げや税金のあり方はどうなっていくべきかを本章にて主張している。
PART5「お金を配ろう」
本章では「ベーシック・インカム」のように見えて、実は違う「分配」を取り上げている。よく株式会社にある株主分配を「日本」を株式会社に見立てるようにすべきとしている。
本書は「お金」を基軸に会社、労働、税金、賃金など多岐にわたっている。ここまで風呂敷を広げると、超訳にならなければおそらく国語辞典、あるいは大全書のように分厚いものになってくる。そのためコンパクトに収められるように「超訳」にせざるを得なかったのか、あるいは超訳にできるくらいの自信があったのかは不明である。
とはいえ、お金のことを考えるとなると色々な分野について考える必要がある。その上で本書の主張でもって、どう考えるか。「ためになる」というよりも「本書を通じてどう『お金』を見ていくか」という考える「起点」となる一冊が本書と言える。
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