昨今日本のメーカーでは海外事情による部品入荷の遅れから車の減産が拡大している。ホンダやトヨタを始め国内メーカーもあれば、海外の車メーカーでも減産の動きを見せている。半導体不足と言われて久しいが、その動きも促進している。
車メーカーといえば、ここ最近勢い付いているのがアメリカの「テスラ」である。2020年の株式時価総額がトヨタを超えたというニュースにもなり、そのCEOであるイーロン・マスクがTwitter社を買収、さらにはCEO就任するかというニュースまである。
また車自体も環境問題から「EV(電気自転車)」への動きがあり、テスラはEVの世界でリードしている。その一方で日本は出遅れており、そのことがきっかけで自動車業界は危機に瀕していると指摘している。本書はEV業界の現状と生き残りへの対策を提示している。
1章「テスラに抜かれる日本車」
EV業界で中心となっているのは言うまでも無く「テスラ」という他ない。低予算で生産を行い、なおかつ世界中に市場を広げるようになり、さらにはガソリン車禁止の動きもあるなど、追い風の状態が続いている。日本でもEV化の動きはあるものの、なかなかうまく行っておらず、後れを取る状況にある。
2章「中国・韓国の猛追」
その一方で中国・韓国ではテスラとはまた異なった独自のEV開発を進めており、急速に市場を伸ばすことに成功しつつある。そのためテスラへの猛追の旗手として名乗りを挙げるほどである。
3章「なぜ水素は普及しないのか」
日本でもEV化の動きは見せているのだが、一つ事例として「水素」を使った燃料電池車(FCV)開発の批判がある。著者は水素技術について批判を行っており、
水素技術は開発に金がかかるわりに、本格的に普及する可能性が非常に低いと考えられる。p.93より
とこき下ろしている。
4章「電気で負ける日本車」
本章では日本車の弱点と言うよりも太陽光と蓄電技術、さらには充電技術が中心となっている。テスラや中国などの太陽光と蓄電の技術がどうなっており、今後はどのように革新していくかを取り上げている。
5章「過熱するバッテリー戦争」
太陽光や風力など自然エネルギーが増えていく中でネックとなっているのが蓄電、いわゆる「バッテリー」である。よくあるリチウムイオン電池があるが、その市場は日本がリードしていたという。しかし蓄電開発は世界的な競争を見せており、日本の立ち位置はどうなっていくのかを取り上げている。
6章「ビジネスモデルの敗北」
テスラ以外にも海外の企業においてEVの開発を行ってきた所は数多くある。しかしながら、いずれもテスラの後塵を拝している。その要因として「ビジネスモデル」の失敗を指摘している。
7章「どうすれば生き残れるのか」
では日本のEV市場はどのようにして生き残ったら良いのか。カーボンニュートラルが進んでいく中でどのような道を辿ったら良いかを提言している。
確かにEVの市場はテスラを始め諸外国に比べると遅れている。その遅れをどう取り戻すかの考える材料として、現状を知ることができる一冊である。
その一方で本書を読み進めていくと、富塚清の存在が浮かんでしまう(特に第3章に関して)。戦前~戦後にかけて活躍した機会工学者であり「内燃機関技術」の先駆者だった。その一方で東洋工業(現:マツダ)におけるロータリーエンジンを批判し、その開発者をつるし上げられた。しかし東洋工業の開発者はめげず、開発を進め、市販車にて世に送り出し、モータースポーツの世界でも1991年にル・マン24時間レースを日本車メーカーとして初めて総合優勝に導いた。
もしFCVをはじめとした技術を開発している方々が見るとどのような思いになるのか、反骨心から発奮するか、もしくは批判をするのか見てみたいものである。
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