東京のぼる坂くだる坂

コロナ禍でしばらく東京に行かないことが続いている。そのため東京は今どうなっているのかどうかもわからないこと・場所も多い。もしコロナが終息して行き来がしやすくなれば、少しばかり東京に行ってみようかなとは思っている。

その東京の体験の中でけっこう思い出に残っている場所が「坂」が多い所と、坂によっては山登りと感じてしまうほどの激坂もある。

本書は引っ越し好きの父が、転々とした場所を探す旅を描いている。しかも転々とした場所は全て東京にある有名な坂の近くに建っていたのだという。そう考えると引っ越し好きであると共に、私もそうであるが「坂好き」とも言えるのかも知れない。しかしなぜ父は「坂」の所に住みたくなったのか、その人生模様も含めて描かれている。とくに人生は山や谷もある事を考えると決して平坦な道ではなく、様々な「坂」があり、華やかさを引き出している。その彩りの片鱗を垣間見た一冊であった。