今夜

「夜」が好きな人も、嫌いな人もいるかもしれない。しかし夜となると、太陽の明るさは消え、街灯などの明かりがわずかに照るだけで、暗くなる。物理的に暗くなるだけでなく、心的な「暗さ」を引き出してしまう人も中にはいる。

その「夜」において、自らに潜む「闇」に侵される、4人の男女を描いている。昼にある日常とはまた違う、日常と心境。そこには、人間としての弱さなどが表れる。その感情に苛まれながら夜明けを待つような状況とも言える。

それぞれの立場が、三者三様ならぬ「四者四様」の「闇」が襲ってきている。読み手の自分にも「闇」があることはわかっているのだが、いざ襲ってこないとわからないという「恐怖」もある。自分自身の闇とは何かを考えさせられたとともに、本書に出てくる人物たちを教師、あるいは反面教師として生きたいとも考えた一冊でもあった。