資本主義の方程式-経済停滞と格差拡大の謎を解く

資本主義先進国のほとんどで採用されているのだが、そもそも「資本主義」といっても、時代とともにあり方が変化している。その「変化」とはいったいどのようなものか、そして資本主義経済における「格差」「停滞」がなぜ生まれるのかなどを紐解いている。

第1章「資本主義経済の変遷」

「資本主義」そのものの定義になると、地域単位で、物々交換や地域独自の通貨を用いて交換を行うなどの概念が古代アテナイやローマの頃から存在した。今ある「資本主義」が定義づけられ始めたのが18世紀半ばのイギリスにおける産業革命の時である。それから資本主義のあり方はどのように変化したのか。そこには「カネ」にまつわる「嗜好」の変遷があった。

第2章「「モノの経済」から「カネの経済」へ」

元々資本主義は「カネ」にまつわる所が主軸であったのだが、資金だけでなく、土地・建物といった固定資産、いわゆる「モノ」もまた経済的な価値としてある。もちろん現在もあるのだが、それ以上に「カネ」にまつわるものが先鋭的になっているのが昨今の「資本主義」だという。

第3章「成熟経済の構造」

昨今の日本経済は「成熟経済」とも呼ばれている。成熟経済の中でどのような経済の政策を行ってきたのか、ここ最近の経済政策と、リーマン・ショックやコロナショックを含めた経済ショックの対策も踏まえて取り上げている。

第4章「格差拡大」

資本主義において、避けて通れないものとして「格差」がある。特にその「格差」がニュースでも話題となったのが2000年代半ばあたりの好景気の時である。長らく低迷していた経済に回復の兆しを見せていた一方で、見返りがなく、なおかつ格差拡大が話題となった時期である。もっともなぜ格差が生まれるのか、その弊害を論じている。

第5章「国際競争と円高不況」

ここ最近では異なるのだが、よくある「不況」の中で「円高不況」がある。なぜ「円高不況」が起こるのか、そのメカニズムと、好不況が海外経済に対してどのように影響を与え、逆に受けるのかを取り上げている。

第6章「政策提言」

成熟経済になり、なおかつ格差拡大が続いていく中で、どのような経済政策を行ったら良いのか、その提言を行っている。

昨今の日本では「円安不況」といった方が良く、なおかつ原材料の高騰などもある。コロナショックの傷は言えているどころか、傷が広がっている現状にあり、それをどのように抑えるのか、政策的にも課題として上がっているが、まだ糸口すらないのが現状である。しかしそれもまた「資本主義」の側面でもある。それを学ぶ参考として本書がある。