この空のずっとずっと向こう

江戸時代における鎖国から開国し、幕府は倒れ、近代の幕開けとなる明治時代に入った頃、文明開化の折りに、100人を超える日本人が「使節団」としてアメリカへと渡っていった。

目的は人それぞれで、欧米の文化、美術、価値観を学び、日本の発展への材料とする者。あるいは単純に海外へ行きたいという者。海外で学び夢を叶えようとする者。人それぞれいる中で、本書は100人超の使節団のうち、5人いた女子留学生の一人を取り上げている。

その5人は「女性教育」「社会進出」と、今の日本では当たり前に存在するのだが、そうさせた礎をつくった方々である。その中の一人である吉益亮子を本書では取り上げている。後に津田塾大学の創始者となる津田梅子の世話を行い、夢を求めて留学するも、そこには厳しい現実が待ち構えていた。ちなみに本書はこの使節団として留学する時までのプロセスを描いており、開国の激動と、外国への憧れが描かれている。