韓国愛憎-激変する隣国と私の30年

日韓関係について、昨今では鳴りを潜めているが、かつては盛んに議論されるほどだった。もちろん後述の歴史認識問題などが発端となることがほとんどであったが。そもそも「歴史」と考えると、「日韓」というよりも、むしろ日本と「朝鮮半島」と言う方が適当かも知れない。

さて本書である。本書は1990年代以降あった「日韓関係」の歴史を著者自身の観点から紐解いている。

第1章「希少価値の韓国研究者―1990年代初頭」

「朝鮮」の研究者は数多くいるのだが、「韓国」に関する研究は著者曰く「希少」だったとしている。そもそも大韓民国の樹立宣言が出されたのが1948年8月15日。大東亜戦争の終戦を迎えてちょうど3年にあたる。それ故か歴史的にそれ程長くなく、歴史も含めて研究を行っている人物も少ないことから来ている。

第2章「神戸大学着任、ハーバード大学留学」

その後ハーバード大学へと留学していった。その要因としては日本と韓国と行った近いところでなく、遠い視点から、なおかつ有名な大学としてハーバード大学を選んだという。

第3章「対立先鋭化の予兆―盧武鉉の登場と歴史認識問題」

日韓対立自体のはじまりは李承晩初代大統領の時代からわずかながら存在した。それは李承晩ラインの設定と日本船の拿捕などが挙げられる。

この日韓対立が先鋭化したのは、著者曰く2003年に盧武鉉が韓国大統領に就任してからのことと指摘している。歴史認識について日韓で共同研究を行ったものの、そもそも日韓の学者が対立しており、議論もかみ合わず、嫌悪なものだったという。

第4章「日本の停滞、韓国の興隆―2000年代の光と影」

では経済的にはどうだったのか、日本はバブル崩壊以降、失われた10年ないし20年と経済的な停滞が続いた一方で、韓国では「韓流ブーム」が起こり、日本をはじめ、諸外国で任期を呼び、さらには半導体をはじめとしたエレクトロニクスの所で急成長を遂げ、存在感を見せた。

第5章「関係悪化の本格化―歴史認識問題を研究する」

年が経つにつれ、日韓関係はますます悪化し、さらなる対立が起こった。そして韓国内では文在寅政権では無為無策により、政治・経済が停滞の一途を辿っていくこととなった。

日韓関係の歴史を見ると、戦後から見た方が良いのかも知れない。というのは戦争以前は冒頭にも述べたように日本と「朝鮮半島」との歴史であり、韓国・北朝鮮のように軍事的な分断が戦後になって起こり、現在も続いている。

とはいえ建国から約74年の月日を迎えているだけあり、その中で日韓関係は様々な変化がある。そう考えると本書はその約半分にあたる30年であるが、90年代以前の日韓関係はどうなっているのか、続編として見たいものである。