20ヵ国語ペラペラ ――私の外国語学習法

海外への憧れを持つ人は少なくない。かく言う私も1度だけカナダに行ったことはあるのだが、他の国に行く機会があればぜひ行ってみたいものである。とはいえ緩和されたとはいえコロナ禍もあるため、なかなかそうにはいかない現実もある。

それはさておき、その海外に行く、あるいは外国の人と関わる際にはどうしても日本語以外の外国語を使う必要があり、その勉強に四苦八苦する人も少なくない。英語や中国語などは有名であるが、他にも多くの種類の言語があり、学び方も異なってくるため難しい。

そこで本書である。そもそも本書が出たのは1969年で、53年もの前の話である。その本を今年復刻して文庫化した1冊なのだが、なぜ今なのか、そして53年の時を経て何が学べるのかを紐解いていく。

Ⅰ.「わたしの語学人生」

もっとも著者は1938年生まれ、大東亜戦争が始まる少し前に生まれ、6歳で終戦を迎えた。その終戦を迎えた時に、連合国を含めた多くの外国人や文化に触れる機会があり、そこから語学人生がスタートした。英語、ドイツ語、日本語などの「違い」を学び、「転校」などの環境の変化もあったのだが、語学学習に明け暮れるようになった。

Ⅱ.「20カ国語上達の記録」

高校に入ってからは次々と色々な語学を学ぶようになり、積み上げていくと20カ国語にもなった。それぞれの時期にどのような語学を学び、なおかつそれぞれの言語についてどのような「きっかけ」があったのかを取り上げている。

Ⅲ.「ポリグロットのすすめ」

「ポリグロット」とは簡単に言うと、

多くの言語を使える人。「広辞苑 第七版」より

とある。いわゆる「マルチリンガル」とほぼ同様の意味をなしている。英語が中心になってきてはいるものの、国によっては中国語やスペイン語、ドイツ語などそれぞれの国にあった言語が母国語であることが多く、世界的に活動をすることとなると、多言語で利用できる人は重宝される。

最近では翻訳ツールも発展しており、それを使っていれば自国語だけで十分と考えるヒトも少なくない。しかし言葉以外にも、表現や即答性など言葉「以外」の面で通じる部分もあると考えると翻訳ツールだけではなかなかうまく良いかないこともある。もちろん使う「機会」をつくる事も大事であり、そうしないとポリグロットであっても役に立たない。ポリグロットは現在、完全に必要が無いわけではなく、あった方が良いという領域にあたると考えられる。

Ⅳ.「体験的速修術29項」

学習と行っても教科書を読んだり、リスニングなどを行うばかりでは無く、「体験」を通して速く修得する、いわゆる「速修」の方法を著者ならではの視点から29個取り上げている。

技術や考え方など53年前と比べても多種多様になってきた。そのため「方法」などの面では当時のものよりも現在のものの方が良い部分も多い。とはいえ、大まかな考え方や心構えは不変の部分も少なからずある。1969年から親しまれ、なおかつ本書がきっかけとなり、語学を学び、仕えるようになった人も数多くいる。温故知新というかどうかは不明だが、当時の学習法を知り、いまあるツールを用いてどのように学び、なおかつポリグロット(マルチリンガル)になっていきたいと言う方であれば、ある種根幹をなすのが本書と言えよう。