本書はミステリーではあるものの、野球ミステリーである。と同時に、ミステリーはフィクションではあるものの、その周囲にある出来事は実際のプロ野球にて起こった出来事を題材にしている。
あるプロ野球ファンが起こした事件について謎を解くと言う一冊であるが、先述の通り、その手がかりは実際の出来事、それも広島東洋カープにまつわる出来事が主となる。刑事とカープファンの女子の2人がカープを絡めて推理を行うのだが、所々実際にあった試合が盛り込まれており、野球好きにたまらないつくりとなっている。
そもそも著者自身が幼少の頃からカープファンであるため、筋金入りとも言え、ミステリーと自らの嗜好を併せ持った一冊である。帯には「隠し玉」とあるが、最も書きたかった一冊のように思えるほどであり、なおかつ本書のタイトル自体も物語の根幹に著者の本心が入っているように思えてならなかった。
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