教室が、ひとりになるまで

とある高校にて連続の自殺事件が起こり、生徒が一人、また一人と減っていった。しかし証言から自殺ではなく、「他殺」だった。

もしもそうであれば完全犯罪のような状況なのだが、そこは本書の主人公。「若者の人間離れ」の如く、超能力で推理を行うと言うものである。超能力だけでも荒唐無稽に思えてくるのだが、ミステリーらしく、推理展開が独創的でありながらも、事件の真相を紐解いている。

また高校が舞台であるため、高校ならではの問題も題材にしている。いわゆる「スクールカースト」である。学校の中において仲良しのグループがあるが、そのグループ内外での諍いもまた事件の中に含まれている。諍いの中に高校生同士、もとい人間としての「信頼」の良し悪しも描かれており、超能力といったぶっ飛んだイメージの中に、高校生ならではの純粋さも醸し出していた一冊だった。