もっとも日本に限らず民主主義国家は様々な意見があるなどの「対立軸」は存在する。イギリスの場合は労働党と保守党、アメリカの場合は共和党と民主党といった二大政党制の様相を持っており、日本でも与野党といったところで分断し、対立軸を生み出している。
その分断は果たして良いのだろうか、またその「分断」は日本と諸外国とでどのような違いがあるのか、本書ではそのことについて取り上げている。
第1章「日本人の価値観と分断」
そもそも価値観は人それぞれなのだが、日本人や外国人などマクロの観点から「価値観」はどのように変化して言っているのかを取り上げている。価値観の診断テストなども本章にて盛り込まれている。
第2章「野党の政権交代戦略」
55年体制ができた後に政権交代は2回あった。1回は非自民・非共産8党連立政権、1回はかつての民主党を中心とした連立政権だった。しかしいずれも政権自体はうまく行かず、不信感をさらに増幅させることになり、いずれも自民党が政権を取り戻すきっかけにもなった。改めての政権交代戦略とあるが、そもそも政権交代してから、果たして政治運営ができるのかという不信感もある。
第3章「「分を知る」をとるか「進歩」をとるか」
日本人は現状維持をする傾向が強い。そのためか革新的なもの・進歩的なものを忌避する傾向もある。もちろん日本に限らず、社会全体において変化や進化が求められることは否が応でも考えている。ではどのように対応をすべきなのかを取り上げている。
第4章「人びとの本音と建前」
本章では投票行動における「本音」と「建前」が中心となっている。よくテレビやネットでも取り上げられる「世論調査」と、実際の選挙とはどのように「違い」があるのかについて言及している。
第5章「日本社会の価値観はどのように変わるのか」
時代とともに「社会」が変わり、「価値観」が変わるのは当然である。当然とは言え「どのように変わるのか?」は各々の思惑によって異なる。その思惑はどのようなものなのか、と言うよりも、この30年で変化のあったもの、なかったものを社会と比較しながら紐解いている。
第6章「保守と革新の分断を探る」
政治をはじめとした思想的な対立として「右派」「左派」がある。その違いの他にも、本章のタイトルである「保守」「革新」、最近では「保守」「リベラル」といった対立軸も存在する。そもそもなぜこの対立軸が生まれるほどの「分断」が起こったのだろうかについて考察を行っているのが本章である。
第7章「日本の分断」
そもそも国としての「改革」は必要であるのだが、それを保守だけで行っている印象が強くあるのが昨今の政治事情である。この事情についてどのような作用があり、課題を持っているのか、本章はそのことについて取り上げている。
分断は何も悪いことではない。分断により対立軸が生まれ、この対立軸における衝突と共に、妥協案などが出てくるようになる。しかしながらその対立が本当に良い作用を行っているのかどうか、昨今のニュースを見ても、そのような作用が見られないのが現状である。