人生ってなんだ

私自身、昨月37歳になった。「もうここまで生きたか」という感情もあれば、「まだ37歳か」という感情の両方を持ってしまう。

その37年間の中で「人生」を振り返ることはあれど、人生とは何かという問いを考える事も何度かあった。本書に限らず色々な本を読み、様々な人の話を聞きながら考えていくのだが、未だに結論が出ない。もしかしたら結論は人それぞれで、中にはないのかもしれない。

そこで本書である。劇作家であり演出家である鴻上尚史氏が自らの人生と経験、考え方をもって人生とは何かを紐解いている。

1.「悩むこと考えること」

冒頭で述べたとおり私は37歳。あと少しで「不惑」と呼ばれる40歳だが、おそらく40歳になったとしても迷い惑うことは多くあるかもしれない。その迷い惑う中で考えること、悩むことはあるのだが、本章のタイトルである2つの要素には「違い」がある。辞書でも、「考える」は、

1.実情を調べただす。吟味する。
2.糺明して罪する。勘当する。
3.思考をめぐらす。あれこれと思量し、事を明らかにする。思案する。
4.易(えき)などによって事を判断する。
5.学ぶ。学習する。

その一方の「悩む」は、

1.肉体に苦痛を感じ苦しむ。病む。
2.いろいろ思い考えてもうまくいかず、精神的な苦痛や負担を感じて苦しむ。こまる。思いわずらう。
3.とやかく非難する。
いずれも「広辞苑 第七版」より

とある。悩むはネガティブな意味合いが強い一方で、考えるはどちらにも使うことができる。

2.「大人の階段を昇るということ」

精神的に昇るのか、それとも著者がタモリ倶楽部にてとあるジャンルで常連になっている所なのかと考えさせられるのだが、本章は前者を意味している。

3.「人を成長させること」

人としての「成長」はどのような所で行われるのか、その人の感覚や変化によって変わってくるためわからない。しかし少なくとも、「経験」や「考え方の変化」など成長するきっかけはどこにでもある。

4.「何者かになることは“成功”なのか」

「成功」もまた捉え方や価値観によって変わってくるため、一概に何をもって「成功」になるのかはわからない。そもそもその「成功」の意味についても著者自身の定義を体験でもって明かしている。

5.「ときにはロマンも必要だ」

人生には理由だけでなく、ロマンも存在する。そのロマンは感覚的な部分はあるのだが、人間にある理性と感性の両輪を活かすためには「ロマン」も大事になる。

6.「親と故郷」

生まれ育った場所、そして両親は大切にしているかどうかを問う章である。かねてから私は毎年の年末年始に故郷に帰り、親と話す。しかしここ2年以上は新型コロナウイルスの影響により、帰郷できていない。しかし中には故郷について、親についてあまり思っていない人もいるかもしれない。その事を考えると「親孝行したいときには親はなし」という川柳がどうしても頭に浮かぶ。

7.「割り切れないからおもしろい」

人生は山あり谷ありであり、なおかつ思い通りにも行かず、それでいて捨てたものでもない。割り切れない部分が沢山あるのだが、だからでこそ「面白い」と著者は喝破している。

本書は「週刊SPA!」にて著者が連載しているコラム「ドンキホーテのピアス」を抜粋している。しかし期間が1994年10月12日号から2021年5月26日号と26年半もの膨大な連載の中から人生についてを抜粋しており、もちろんその中でも著者自身の「変化」もある。長きにわたって連載した中でどのような人生の考えも含めた「変化」があったのかも見て取れる一冊である。

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