教養として学んでおきたいクラシック音楽

すでに管理人紹介を含め、いくつもの書評でも言及したのだが、私は中学・高校と吹奏楽出身で、大学は室内管弦楽団に入り、音楽にどっぷりの毎日だった。社会人になって楽器を演奏することはなくなったのだが、それでも学生時代の名残からか、趣味程度であるが、クラシック音楽や吹奏楽を聴くことはけっこうある。

もっともクラシック音楽は演奏する楽団・指揮者によっても傾向・解釈が異なるため、その部分での面白味もあるのだが、クラシック音楽自体も長い歴史のなかで紡がれてきている。本書は教養としての「クラシック音楽」に因み、クラシック音楽の歴史と曲や醍醐味を取り上げている。

第1章「クラシック音楽とは何か?」

そもそも「クラシック音楽」と言うと、弦楽器だけ、あるいは管弦楽などで演奏される音楽のイメージがある。そうなると「弦楽」や「管弦楽」で良いのではと思いがちになるのだが、そもそもクラシック(Classic)と言う言葉自体に「古典」という意味合いを持っている。本書でも17世紀から現在に至るまでの管弦楽・室内楽を取り上げており、長い歴史を織りなした音楽が「クラシック音楽」と呼ばれる所以である。

第2章「おすすめクラシック音楽・名曲カタログ~バロック・古典派編~」

初期の頃の音楽としてバッハやヴィヴァルディ、ハイドンなどもあれば、よく聞くモーツァルトやベートーヴェンなどの音楽家の歴史、さらには書かれた曲が列挙されている。もちろん取り上げてきた中でおすすめのCDも合わせて取り上げている。

第3章「クラシック音楽家として生きるということ」

著者自身は東京藝術大学の学長という要職に就いている一方で、音楽家でもある。元々音楽家を志した理由は何か、そしてヴァイオリン奏者として辿ってきた道はどういったものなのか、そして音楽家として社会へどのようにして貢献していったのかを綴っている。

第4章「おすすめクラシック音楽・名曲カタログ~ロマン派から近現代音楽まで~」

第2章と同じように音楽家、さらにはおすすめの曲やCDなどを紹介しているが、第2章は初期のバロックや古典派である一方、本章では18世紀末から現在にかけてであるため、ロマン派や近現代の音楽までを紹介している。中にはラヴェルやプロコフィエフ、チャイコフスキーなど吹奏楽を行っている方々でも聞いたことのある作曲家も取り上げている。

第5章「演奏会に行ってみよう」

一昔前はCDなどで、ここ最近ではYouTubeやダウンロードにて聴くことができるのだが、やはり演奏会に足を運ぶことで生の音楽に触れることも必要である。楽器の並びはもちろんのこと、各奏者の姿勢、さらには指揮者を含めた音楽的な解釈なども触れることができる。それを知らないと退屈になるかも知れないが、ある程度知ることによって演奏会に行くのも楽しくなってくる。

第6章「もっと聴こう、クラシック音楽」

冒頭でもすこし取り上げたのだが、クラシック音楽の曲もあれば、演奏する楽団、指揮者によって変わってくる。選び方の基準は様々であり、なおかつ触れる機会はこれまで以上に簡単なものになってくる。

第7章「これからもクラシック音楽は生き続ける」

2020年から続いているコロナ禍は俗に「楽壇」と呼ばれるクラシック界においても暗い影を落とした。演奏会を開こうにも開くことができず、それ以前に音楽家を志す人の減少もあるという。もっともその受け皿も減っている現状もあるのだが。その現状を憂い、プロジェクトをつくり実行しているという。

クラシック音楽は古くさいように聞こえたり、考えられたりする人もいる。しかし長い歴史のなかで廃れずに受け継がれているにも、親しまれている「理由」がある。その理由が本書で取り上げる教養の中にも存在する。

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