アポカリプスの花

区役所に住む主人公の女性は恋人と同棲し、順風満帆の日々を送っていた。しかしその日常の中で仕事・家両方で謎の現象が起こり、主人公を苦しめた。しかしその現象は主人公しか見えず、恋人や仕事の同僚を含めどの人もわからない。「幻覚」に陥っているのではないかと言うような状況が続いた中、恋人をよく知る男性が現れた。

現れたと同時に恋人がいなくなり、あたかも幻覚と呼ばれる「違和感」がさらに広がっていく。その要因とはいったい何かを探し求める物語である。

幻覚や幻聴というと、ある種精神的なものだけでなく、「五感」にまつわる異常でも起こりうる。しかし本書はいずれも当てはまらず、要因こそが本書の核心にあたる。ミステリー感はあれど、本書の帯には「ダーク・ファンタジーサスペンス」と書かれていた。本書の核心の中に「ファンタジー」があり、それが日常を蝕むというものであるが、展開が急になることもあり、それがあたかも「分断」しているように思えてならなかった。