滅びの園

SF

いつもある日常が突然の出来事で一瞬にして変わる。そのようなことは過去にも起こったことがあり、これからも起こることがある。しかし本書で出てくる「突然」は「未知」のものである。いわゆる「宇宙人」か「未確認生物」なのかは不明だが、有害で、無尽蔵に増殖し、地球を飲み込もうとする勢いで、「滅び」を迎える。

その危機的状況にある中で、登場人物たちはどのように相対するのか、そしてそれぞれの思いがどのように「交錯」して行くのかもまた本書の醍醐味としてある。

冒頭にある「突然」は巨大地震や火山噴火などがあるのだが、現に大きな地震は何度も起こっており、その中でも「出来事が変わる」ほどと言われるものとなると、11年前の東日本大震災がそれにあたる。本書は「突然」の危機に対しての怖さ・人間模様、そしてそれに立ち向かう姿がまざまざと描かれている。