私自身大卒であるが、もっとも大卒してからもう14年の月日が流れる。その間に新設された大学もあれば、募集停止となり、閉校した大学もある。さらに言うと大学というと「大学受験」が良く言われるが、昨今では「大学全入時代」と呼ばれ、よほど志望している学校を受験するためでない限り浪人になるケースも少なくなってきている。
もちろん大学側も定員割れを起こすケースも少なくなく、国公立大学もその例外ではない。本書は少子化時代における大学の生き残り策を追っている。
第一章「大学の誕生―戦前の大学誘致、戦後の新制大学」
「国公立大学」と書いたのだが、「国立大学」もあれば、地方自治体の「公立大学」もある。他にも「私立大学」もあるため、大きく分けるとこの3つに分かれる。
特に本章における「誘致」は特に戦前からあった国立大学などの誘致や「公立大学」の誕生について取り上げている。
第二章「公立大学無用論―財政負担、私学移管、新構想大学の誘致」
公立大学は国とは異なり、地方自治体によって設立し、管理を行う。しかし公立大学の国立移管も進めるところもある。その理由としては自治体の財政難がある。その中で「公立大学無用論」といった議論も存在する。果たしてどのような議論なのかも併せて論じている。
第三章「平成、令和の新設ラッシュ―国策としての大学“改革”」
新設ラッシュは昭和でも誘致も含めて行われたのだが、平成・令和の時代においても「新設ラッシュ」は起こった。アメリカの大学を日本に誘致する、あるいは地方自治体の思惑によって新設する所もあれば、私の地元旭川のように私立大学を市立に移管するケースもある。
第四章「変わる関係―高等教育は大都市でしか受けられないのか?」
大学における「格差」は学力のみならず、設立する「場所」の格差も存在する。それは何かというと、特に大学設立などが多いのが大都市圏に偏りやすいと言う所にある。なぜ大都市圏に偏るのかについてを分析している。
第五章「自治体の戦略と私大の地方展開―成功と失敗の分かれ道」
自治体、大学それぞれに大学設立や展開について思惑があり、その思惑によって成功や失敗が分かれる。成功・失敗それぞれの事例を引き合いに、どこが分かれ道になっているのかを論じている。
第六章「大学冬の時代―撤退・廃止・合併」
先にも書いたように「大学全入時代」となってきており、それ故に学生の募集に対して、なかなかうまく行かず、合併や募集停止・廃止、さらには閉校などの撤退も少なくない。そのような中で大学自体が「冬の時代」を迎えている。その冬に対しての生き残り策はどこにあるのかを取り上げている。
私自身もここ最近新しい大学が様々な広告を見て増えている印象を持っている。少子化の時代なのになぜという感覚も持っているのだが、その背景には地方自治体の思惑が渦巻いていることが本書にてよくわかる。
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