本書は表題作を含めて全部で8編収録されている。元々著者は長編も描くことがあるのだが、元々のホームグラウンドは短編と言えるほど、短編の作品が数多くある。それ故か小説雑誌にも度々取り上げられている。本書で収録されている作品も過去に雑誌にて取り上げられているものばかりである。
しかし「取り上げられている」と言ったが、初出が古くて1996年、新しくて2008年とどちらかというと古いものばかりである。とはいえ「選りすぐり」をするとなると、本書が治まりが良いのかもしれない。古くて26年、新しくても14年も前の作品で有ながらも、決して色あせることのないタッチで描かれているため、読む人にとっては今もなお新鮮味が残る一冊と言えよう。そう考えると、2008年以降も数多く短編を描いているため、ここ最近のものを厳選しての短編集もいくつか見てみたいものである。
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角田 光代 小学館 2020年10月06日
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